空海の前と空海以後、日本人の精神史の一大革命を見る
創建1200年記念特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」
東京国立博物館
圧倒的な存在感で屹立するこの像は、頭頂から蓮華状の台座まで、まるまる一本の大木から彫り出されている(両手先と台座の蓮の花弁は別材)。執拗なまでにうねる曲線で躍動する衣のひだの、圧倒的な木彫技術の高さを示す深い凹凸で彫り込まれた複雑な曲面は、肩などはまるで本当の布がまとわりついているかのように、ビロードのように滑らかだ。
一際目を引くのは太くたくましい太腿だ。平安時代初期の立ち姿の仏像は、なぜこうも腿が立派なのだろう? なかでもこの神護寺の本尊・薬師如来立像の太腿のたくましさとはち切れんばかりの生命感は、群を抜いている。そういえば、日本列島に最初に住み始めてやがて縄文文明を生み出した人たち...