奈良国立博物館開館130年記念特別展「超 国宝 Oh! KOKUHO - 祈りの輝き」
「深海に生きる魚族のように、自らが燃えなければ何処にも光はない」明石海人
海の底のような深く青い闇の中に、ほのかに浮かび上がる赤と肌色の、暖色のすっと伸びる長身。
Oh...
思い浮かぶ言葉はこれしかない。「神々しい」「世にこんなに美しい空間が」などと、いまさら手垢のついた美辞麗句を連ねたところで、この展示室に入った時の感情を言い表すには陳腐だ。
正面からの姿は縦のラインを強調して一見直線的で、極端に縦長の二等辺三角形の安定したシルエットからは、なぜか曲線的な揺らぎとゆらめきも感じ取れる。よく見れば胸や腹の膨らみはデリケートな曲線で慎ましく表現され、帯のウェストで微妙に締まり、丸みを帯び...