大倉集古館
企画展
「大倉コレクション-信仰の美-」
力強い目と、その視線と同方向に突き出されるかのような腕の迫力。リアリズムすら通り越した強烈な描写は、現代のマンガや劇画にさえ通じる。
三白眼の凄まじい目力は「玉眼」、目にガラスや水晶の玉を嵌め込む技法で表現されている。
こうして目をリアルに見せること、彫りが深くひだがうねるように誇張された衣の表現などは、鎌倉時代の彫刻の特徴だ。今日でもあまりに有名な運慶・快慶らの「慶派」を筆頭に、このようなリアリズムや躍動する身体性の表現が探求されたのが平安時代の末から鎌倉時代、12世紀末から13世紀以降なのだが、その鎌倉時代末か南北朝時代のこの像には、そんなリアリズムの迫真性の探求をも突き抜けた凄みが...