東京国立博物館・建立900年 特別展「中尊寺金色堂」
なんとやさしい像だろう。さほど大きくない(象高62.5cm)せいもあって威圧感はまったくない。均整の取れたプロポーションの穏やかな造形は、いかにも平安時代の中後期に完成した「定朝様」らしい静謐なたたずまいだが、同時代に多い完成された様式美からさらに一線を超えたような、温かな人間味と柔らかさが、たとえば自然に曲げられた肘から前腕、丸みを帯びた肩のラインに感じられる。
なによりもこの阿弥陀如来像に心惹かれるのは、まるで童子か少年のような顔立ちだ。
うっすらと下向きに開いた眼と自分の視線がちょうど合うアングルから見上げると、ふっくらした頬はまるで子どものように愛らしい。
このなんとも人間らしい...