東京国立博物館 浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「京都 南山城の仏像」
緊張感に満ち硬質な、屹立した美に、まず目を見張り、息を呑む。
平安時代初期・9世紀の十一面観音菩薩立像だ。決して大きな像ではないが、だからこそ極小で微細なディテールに至るまで、スキのまったくない緻密で精緻な描写に圧倒される。いやそれ以前に、この展覧会上に入るなり入り口の真っ正面に展示された姿は黒真珠のようにきらめき、木で作られているはずなのが、なんらかの貴重な鉱物か、宝石で彫られているのかとすら見紛うばかりで、像高45cmというサイズの何倍もの存在感で空間を占有している。
京都市南部・木津川市の、木津川のほとりの加茂地区を見下ろす山にある海住山寺には、2体の同時代の十一面観音がある(共に...