ふたつの都のあいだの山々に育まれた、美と神秘と精神の類まれな歴史〜奈良国立博物館 浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「聖地 南山城-奈良と京都を結ぶ祈りの至宝-」
阿弥陀如来の救済には、『観無量寿経』によれば九つの、いわば「等級」がある。「品」のカテゴリーで上中下の三段階(ちなみに「上品」「下品」の語源でもあるが、読みは「ほん」)、「生」(読みは「しょう」)にも「上中下」があるので3の2乗で9通り。なお「阿弥陀」はサンスクリット語の「अमिताभ(アミターバ)」の当て字で「無量寿」がその意味の漢字(中国語)訳に当たり、無限の慈悲を持ってあらゆる衆生の救済を目指す。
平安時代の中期頃から、「末法」思想を背景に、阿弥陀如来にすがり死後の救済を願う浄土信仰が広まった日本では、この絶対的な救済の仏の9通りの救済の在り方を9体の仏像で表現する仏教施設が、平安...