北島博士のおもしろ映画講座 第七回『屍者の帝国』cinefil連載
原作『屍者の帝国』(河出文庫)は伊藤計劃の第三長編小説となるはずだったが、冒頭の30ページ分を書いたところで、作者が肺癌のために34歳の若さで死亡、親交のあった円城塔が遺族の承諾を得て2012年に完成させたスチームパンクSF。
伊藤計劃は2007年に『虐殺器官』でデビューして脚光を浴び、二作目の『ハーモニー』が2010年に刊行されて第40回星雲賞、第30回日本SF大賞を受賞した。ちなみに『屍者の帝国』も第33回日本SF大賞特別賞、第44回星雲賞を受賞している。
ヴィクター・フランケンシュタインによって屍体の組成技術が確立され、19世紀末には屍者が労働者として産業を支える時代がやってきた。...