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2000-01-01
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神山睦美
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cinefil編集部
文芸評論家。1947年生まれ。東京大学教養学科卒。2011年『小林秀雄の昭和』(思潮社)で、第2回鮎川信夫賞。他に『希望のエートス 3・11以後』(思潮社)、『サクリファイス』(響文社)。
cinefil新連載「神山睦美のサクリファイス」第11回 歴史の天使
歴史の天使 ヴァルター・ベンヤミンというと、ユダヤ人の文学・思想家としてハンナ・アレントにも大きな影響を与えた伝説的人物として知られている。ヒトラーが政権を握ったナチス・ドイツの時代に、その追手からのがれようとして、フランスからスペインへ渡る途次、ピレネー山中の小さな町のホテルで、モルヒネ自殺を図り、48歳の生涯を閉じた。死の直前まで推敲していたのが遺稿となった「歴史の概念について」という20章あまりの断章からなるテーゼだ。 なかで、もっともよく知られているのが、「歴史の天使」と一般にいわれる第9テーゼだ。ベンヤミンは、そこでクレーの「新しい天使」という絵に託して、みずからの歴史観を述べ...
神山睦美
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cinefil編集部
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神山
cinefil新連載「神山睦美のサクリファイス」第10回 卒論指導
卒論指導 私は、1969年の東大安田講堂事件にかかわった世代である。この年、東大は入学試験の中止を決定したのだが、卒業は通常通りだった。卒業年度に当たる者たちは、3月までに卒業論文を提出して、卒業していった。しかし、全共闘学生だった私たちには、卒論指導をしてくれる教官もいなく、中退するか留年するかだった。 幸いなことに私は、何とか卒業することができた。論文指導をしてくれる教官がいたからだ。指導教官は、蓮實重彦助教授。卒業論文は、フローベールの「ボヴァリー夫人論」である。安田講堂事件や駒場8号館闘争の頃、蓮實さんはフランスにいたので、東大闘争にはかかわっていなかった。それならなぜ、蓮實さん...
神山睦美
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cinefil編集部
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cinefil新連載「神山睦美のサクリファイス」第9回 日々、様々な思いに
綱の上で踊ろうとする者 パスカルの『パンセ』は、何度も読み返した愛読書の一つなのだが、第5章「正義と現象の理由」は、読み落としていた。そこにこんな話が出てくる。 友がいて、彼は川の向こうに住んでいる。川を挟んで、向こう側の統治者とこちら側の統治者とが戦争を始めた。攻め込んでいくと、囚われの身の友に出会った。彼は、なぜ私を殺すのかと言った。それに対して、川の向こうの人々を殺すことは、殺人ではなく、正義であり、殺すことによって自分は、勇者となるのだと答えた。君が川のこちら側に住んでいたら、殺すことは確実に殺人なのだから、決して自分は手を下すことはなかっただろう、とも。 こういう話をいまから4...
神山睦美
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cinefil新連載「神山睦美のサクリファイス」第8回 「ままならなさ」を負わされている
「ままならなさ」を負わされている マルクスの学位論文に「デモクリトスの自然哲学とエピクロスの自然哲学の差異」というものがある。物質の単位である原子が、合理的な法則に従って運動しているという説に疑問をさしはさんだデモクリトスとエピクロスについて論じたものだ。 あの『資本論』のマルクスが、どうしてギリシア哲学の、それも原子論などに興味を示したのかと思ってしまう。私の考えでは、このマルクスの処女論文こそ、その後のマルクス思想の根にあたるものなのだ。 一言でいってしまうと、人間存在からはじめて、この世界にあるものはすべて、ある種のずれというか、偶有性というか、不確定性というか、要するに「ままなら...
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神山
cinefil新連載「神山睦美のサクリファイス」第7回 出身が悪い
出身が悪い 辻井喬の思想について考えるところがあって、おもな対談集を読んでいるのだが、2011年10月発行の宮崎学との対談『世界を語る言葉を求めて―3・11以後を生きる思想』(毎日新聞社)が断然面白い。日本の戦後の停滞と3・11以後の停滞とを重ねて縦横無尽に発言するのだが、こんな言葉、辻井喬でないと聞くことができない。 僕は、戦争が終わったときは高校生でした。ラジオを聞いて、大体意味はわかって、「そうすると、これからはゲリラ戦しかないんだな」と思いましたね。しかしゲリラ戦は全然始まらない(笑)。ゲリラ戦が始まるどころか、米よこせ運動になるわけです。僕が党員の時の「横瀬」というペンネームは...
神山睦美
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神山
シネフィル
cinefil新連載「神山睦美のサクリファイス」第6回 修復が可能な男女関係
修復が可能な男女関係 教え子(女性)から「離婚することにしました」という葉書が届いた。いつも年賀状に記してある住所とは異なっていたので、夫と一緒に住んでいた家を出たのだろう。最近では、シングルマザーもバツイチという言葉も普通に使われるから、珍しいことではないのかもしれない。しかし、当事者にとってみれば、さぞかし辛いことであろう。 人間は自我の尊厳を傷つけられたとき、死に至る病を経験する。失恋や失職、さらには受験や就職活動での度重なる不合格によって、絶望の淵に立たされた経験のある人は少なくない。しかし、離婚というのは、本質的にこれと異なるのではないだろうか。 ヘーゲルに主人と奴隷の承認をめ...
神山睦美
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cinefil新連載「神山睦美のサクリファイス」第5回 デンマークの船
連載第3回 デンマークの船 デンマークというと、ディネセンやアンデルセンや、キルケゴールの国としてしか知らなかったが、逆にいうと、この北欧の小国が、どうして彼らのような文学者や哲学者を輩出したのだろうかという思いがあった。 その理由の一端に当たるような事実に、このところ読み継いでいるパウル・ツェランの詩のなかで出会った。公刊された詩集では最後のものになる『時の屋敷』に収録された次のような詩。 存在していた 無花果の一片が お前の唇の上に、 存在していた イェルサレムが ぼくたちのまわりに、 存在していた 明るい松の香りが 僕たちが感謝したデンマークの船のうえ 僕は存在していた お前の中に...
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cinefil新連載「神山睦美のサクリファイス」第4回 『バベットの晩餐会』この美しい世界では、すべてが可能
連載第3回 この美しい世界では、すべてが可能 私にはそういう経験がないのだが、人生の晩秋を迎える頃、若かりし日に心から惹かれながら、最後まで告白できなかった女性に、何十年の歳月を経て再会するということが、ままあるといっていいだろう。 そういう時に、いまは世の中の酸いも辛いも味わった身として、かつて抱いた密かな思いを酒の肴にして話してみたり、同席した人々の思い出話に絡めて、それとなくほのめかしてみたりするのが普通ではないかと思うのだが、アイザック・ディネセンの『バベットの晩餐会』に登場するレーヴェンイェルム将軍は、まったく異なるのだ。 まだ中尉の身であった若かりし日、人生の修養を重ねるため...
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cinefil新連載「神山睦美のサクリファイス」第3回 『ふたりのベロニカ』で倒れる寸前に歌っていた歌曲
連載第3回 映画『ふたりのベロニカ』の主人公が、倒れる寸前に歌っていた歌曲 「この門を過ぎるものは一切の望みを捨てよ」というのは、ダンテ『神曲』の「地獄篇」第三歌に出てくる地獄の門の銘文だ。 一方、「天国篇」の第二歌に、ベアトリーチェに導かれて天国へ向かうダンテが、私たち読者に警告する場面がある。 要約すると、こんな具合になる。 おお、君たちは小さな舟に乗って私の後をついてきた。 だが、私の歌を聴きたいと思って沖合に出てはいけない。 君たちは、私を見失い、途方に暮れるにちがいない。 私が向かう海は、誰も乗り出したことのない海なのだから。 それでも、ミネルヴァが風を吹き、アポロンが私を導い...
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cinefil新連載「文芸評論家神山睦美のサクリファイス」第2回 幸せな家族の条件
連載第2回 幸せな家族の条件 トルストイの『アンナカレーニナ』の冒頭の一句「幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」(望月哲男訳)は、何度読んでも深い味わいがある。 トルストイは、この世の中には「幸せな家族」と「不幸な家族」というのがあって、その違いについて述べているように見えるが、決してそういうことではない。 家族というのは、何事もなく、平穏無事であればあるほど、みな同じような形になっていくのだが、ひとたび波風が立って、その形が崩れていったとき、不幸というそれぞれに特別な形を負わされていく。 そして、この世の中には、幸せな家族といった類型は、ど...
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神山睦美のサクリファイス
#02
コラム
cinefil新連載 文芸評論家 神山睦美の「サクリファイス」第1回
連載第1回 8月に『サクリファイス』(響文社)という評論集を出版した。帯文の背には、「文芸評論の『現在』」と銘打たれている。詩や小説など文学作品についての批評のように思われるが、タルコフスキー監督の遺作「サクリファイス」についての文章をはじめ、哲学や現代思想などさまざまなジャンルの批評が多数おさめられている。 帯文のおもてには「枯れかかった木に日々、欠かすことなく水をやるならば、世界は必ず変わる」という言葉が、キャッチコピーとして挙げられている。この言葉は、映画「サクリファイス」の最初の場面で、主人公のアレクサンデルが、小さな子どもとともに、海辺に1本の木を植えながら、子どもに語って聞か...
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園田恵子
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シネフィル編集部
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