「日本人にとっての仏のかたち」の成立過程を追体験
東京国立博物館「文化財よ、永遠に」展 2019年10月1日〜12月1日
名目は文化財の保存修理の成果をお披露目する展覧会。こういうテーマはある意味、語弊を恐れずに言えば、見に行く側にとっては「(これを口実に)どんなものが集まっているのかが楽しみ」みたいなところがある。
絵画ならまだ、日本絵画は表面をクリーニングして煤や汚れを落とし、表具をやり直して平らな布や紙に貼り直すことで、見違えるほど鮮やかになる。だが東京国立博物館の展示(他に九州国立博物館でも開催中、京都・東京の泉屋考古館での展示は終了)は彫刻、主に仏像だ。日本の文化財保存ではこの場合、「現状保存」が原則で、剥落した金箔や漆や褪色した彩色を本来の色に再現などはしない。後世に塗られた彩色や漆だと分かれば...