短期集中連載
『パロディスター』プロダクションNOTE#04
by 長棟航平
傘を差すほどでもない小雨が降っていた。
手持ちが足りなくてホテル代を借りたことが気まずくて、女とはさっきから会話が続かない。
一向に名前を思い出せないこの女は”自分のことをいい女だと思い込んでいる”ことを抜きにすれば悪い女ではないのだろう。
だけれど、流されるままにこのまま喫茶店にでも入ってしまえば余計な質問をいくつかされて、げんなりした気持ちになることは目に見えていた。
”ねえ、昨日言ってたの嘘じゃないよね?あたしのこと好きって”
確かに、女を不安にさせてこんな質問をさせてしまった非はこちらにある。
だけれど日曜の昼日中に”ぎょうざの満州”の前でこんな馬鹿げたことを聞いてくる女のセンス...