浮世絵の展示はやっぱり「刷り」次第。世界中から集めに集めた最良の刷りと保存の良さに目からウロコの鮮やかさと艶やかさ〜東京都江戸東京博物館「大浮世絵展」
展覧会名が「大浮世絵展」で歌麿、写楽、北斎、広重、国芳の「代表作」が集まると言われて、よくも悪くも「誰もが知っており、そして誰もが見たい」と案内にも書かれている通りの「名作展だね」と(いささか失礼ながら)タカを括って会場に入ると、いきなり度肝を抜かれる。視線の先に淡い照明で浮かび上がった喜多川歌麿の『婦人相学十躰 浮気之相』が、妖艶で官能的でありながら清潔感に満ちた気品を湛えつつ、やわらかく光輝いているのだ。
確かに光を放っているように見えるのだ。写真にはなかなか映らないが。もちろん浮世絵版画に詳しい人なら、歌麿のこのシリーズでは背景に「雲母(キラ)刷」と言って、反射率の高い雲母の粉末を...