自由な発想は奇想天外、画風はダイナミックで時にシュール、おとぼけヘタうままでこなす変幻自在、検閲に遭えばシャレで返す大江戸ポップ・アート歌川国芳の創作の秘密は、二人の娘?
〜太田記念美術館「歌川国芳 父の画業と娘たち」
かつては「西洋画から学んだ」ばかりが評価されていた国芳
まずタイトルの絵をご覧いただきたい。これは歌川国芳(1797-1861)が西洋の油絵の手法を模倣して描いた風景画シリーズ「東都名所」の「かすみが関」。日本美術史で国芳は長らく、こうした西洋画の技法を取り入れたことでばかり評価され、当時は大人気の浮世絵師だったのに、長らくほとんど注目されて来なかった。人気の絵師になったのは21世紀に入ってから。伊藤若冲と並ぶ、近年の日本美術で最大の再評価・復活劇と言える。
だがこの「かすみが関」、そんなかつての定説だった「泰西名画の模倣」にはとても思えない。ふと連想するのは岸田劉生の「道路と土手と塀(...