国宝・玳玻散花文天目茶碗の宇宙

最後に再び、唐物の名品中の名品「玳玻散花文天目茶碗」に触れておきたい。

画像: 国宝・玳玻散花文天目茶碗 南宋14世紀 相国寺蔵

国宝・玳玻散花文天目茶碗 南宋14世紀 相国寺蔵

展覧会の最後のセクションは「数寄者の茶」と題され、鎌倉時代に禅寺に喫茶の風習が取り入れられて以来の長い歴史を経て、近世の日本で大ブームかつ基礎教養となった「茶の湯」を楽しみ、その美意識を過去に学びつつ新たに突き詰めて行った数寄者たちやその子孫が、相国寺に寄進した名品を通して、茶の湯文化の完成を見せる構成になっている。

画像: 蘭渓道隆 墨跡「宋元」鎌倉時代 鹿苑寺蔵 蘭渓道隆は鎌倉幕府が中国から招いた禅僧、鎌倉・建長寺の開山

蘭渓道隆 墨跡「宋元」鎌倉時代 鹿苑寺蔵 蘭渓道隆は鎌倉幕府が中国から招いた禅僧、鎌倉・建長寺の開山

画像: 唐物平手肩衝茶入 添・若狭盆 宋時代 鹿苑寺蔵

唐物平手肩衝茶入 添・若狭盆 宋時代 鹿苑寺蔵

画像: 嵯峨蒔絵藤の絵棗 堅叟宗守在判 桃山時代 鹿苑寺蔵

嵯峨蒔絵藤の絵棗 堅叟宗守在判 桃山時代 鹿苑寺蔵

画像: 小堀遠州 竹茶杓 銘「さらさ」 江戸時代 慈照寺蔵

小堀遠州 竹茶杓 銘「さらさ」 江戸時代 慈照寺蔵

画像: 長次郎 赤樂茶碗 銘「天狗」桃山時代 鹿苑寺蔵

長次郎 赤樂茶碗 銘「天狗」桃山時代 鹿苑寺蔵

画像: 唐津鉄斑文水指 桃山時代 相国寺蔵 重要文化財

唐津鉄斑文水指 桃山時代 相国寺蔵 重要文化財

画像: 影青透彫花文香炉 中国・宋時代 相国寺蔵 重要美術品

影青透彫花文香炉 中国・宋時代 相国寺蔵 重要美術品

画像: 芦屋無地真形釜 鎌倉時代 相国寺蔵 重要文化財

芦屋無地真形釜 鎌倉時代 相国寺蔵 重要文化財

画像: 芦屋七宝文真形釜 南北朝時代 相国寺蔵 重要文化財

芦屋七宝文真形釜 南北朝時代 相国寺蔵 重要文化財

画像: 楚石梵琦・賛 黙庵霊渕・筆 「柳鷺図」元時代 14世紀 慈照寺蔵

楚石梵琦・賛 黙庵霊渕・筆 「柳鷺図」元時代 14世紀 慈照寺蔵

画像: 拙庵徳光 墨跡 「金渡の墨跡」中国・宋時代 鹿苑寺蔵 重要文化財 かつて平重盛が所有し「平家物語」のなかの逸話にも登場する名筆。足利義満旧蔵

拙庵徳光 墨跡 「金渡の墨跡」中国・宋時代 鹿苑寺蔵 重要文化財
かつて平重盛が所有し「平家物語」のなかの逸話にも登場する名筆。足利義満旧蔵

玳玻散花文天目茶碗も展覧会のいわば「大トリ」として、この最後のコーナーに登場する。かつて松江藩七代藩主・松平治郷が愛蔵していたものだからだ。治郷は江戸時代後期に財政難に陥った藩政を立て直した有能な藩主だったが、今日では「不昧」という茶人としての号の方が遥かに有名だろう。

画像1: 国宝・玳玻散花文天目茶碗 南宋14世紀 相国寺蔵 松平不昧旧蔵

国宝・玳玻散花文天目茶碗 南宋14世紀 相国寺蔵 松平不昧旧蔵

以前にも見る機会はあった名碗だが、今回の展示では、かつてなく美しい。特に圧巻が、内側の色彩の豊かさだ。口縁近くの青のラインがこんなに鮮やかに見えたことはなかったし、見込みにはピンクと黄色と青の極小の斑点が無数に広がり、それが距離を置いて見ると混じり合って見えて、独特の気品のある色合いを産み出しているのも、こんなに鮮やかだったとは

画像: 国宝・玳玻散花文天目茶碗の宇宙

この鮮烈な展示、実は照明に仕掛けがある。今回、特別に照明付きのケースを新調し、光の波長をほぼ太陽光のそれに合わせたのだという。

つまりこの鮮やかな美しい色彩こそが過去の、電気の人工照明がなかった時代にこの碗を手にし、使い、愛好した人々が見ていた色、ということだ。

画像2: 国宝・玳玻散花文天目茶碗 南宋14世紀 相国寺蔵 松平不昧旧蔵

国宝・玳玻散花文天目茶碗 南宋14世紀 相国寺蔵 松平不昧旧蔵

基本情報

画像: 伊藤若冲 「月夜芭蕉図」鹿苑寺大書院障壁画・三之間床貼付 江戸時代 宝暦9(1759)年 鹿苑寺蔵 重要文化財

伊藤若冲 「月夜芭蕉図」鹿苑寺大書院障壁画・三之間床貼付 江戸時代 宝暦9(1759)年 鹿苑寺蔵 重要文化財

Ⅰ期 2019年10月5日(土)~12月22日(日)
Ⅱ期 2020年1月11日(土)~3月29日(日)
10:00~17:00(入館は16:30まで)
会期中無休
拝観料
一般 800円
65歳以上・大学生 600円
中高生 300円
小学生 200円
※一般の方に限り、20名様以上は団体割引で各700円

主催
相国寺承天閣美術館、日本経済新聞社、京都新聞
協賛
一般財団法人 萬年会
協力
MBS

関連イベント

画像2: 本阿弥光悦 赤樂茶碗 銘「加賀」 江戸時代 仙叟宗室 所持、松平不昧 旧蔵 相国寺蔵 重要文化財

本阿弥光悦 赤樂茶碗 銘「加賀」 江戸時代 仙叟宗室 所持、松平不昧 旧蔵 相国寺蔵 重要文化財

講演会「長次郎と光悦とわたし」
講師:樂 直入(陶芸家 十五代樂吉左衞門)
日時:2020年1月25日(土) 14:00~15:30 開場 13:30
定員:当日先着80名

画像2: 長次郎 黒樂茶碗 銘「喝食」 桃山時代 鹿苑寺蔵

長次郎 黒樂茶碗 銘「喝食」 桃山時代 鹿苑寺蔵

講義「禅寺に息づく茶」
2020年2月22日(土) 14:00~
講師 本多潤子(当館学芸員)
ギャラリートーク
2020年2月1日(土) 14:00~
担当 本多潤子(当館学芸員)

「茶の湯ー禅と数寄」展 cinefil チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「茶の湯ー禅と数寄」チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
この招待券は非売品です。転売、オークションへの出品などを固く禁じます。

応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
応募締め切り    2019年12月11日(水)24:00

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また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

画像3: 国宝・玳玻散花文天目茶碗 南宋14世紀 相国寺蔵 松平不昧旧蔵

国宝・玳玻散花文天目茶碗 南宋14世紀 相国寺蔵 松平不昧旧蔵

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