国宝・玳玻散花文天目茶碗の宇宙
最後に再び、唐物の名品中の名品「玳玻散花文天目茶碗」に触れておきたい。
展覧会の最後のセクションは「数寄者の茶」と題され、鎌倉時代に禅寺に喫茶の風習が取り入れられて以来の長い歴史を経て、近世の日本で大ブームかつ基礎教養となった「茶の湯」を楽しみ、その美意識を過去に学びつつ新たに突き詰めて行った数寄者たちやその子孫が、相国寺に寄進した名品を通して、茶の湯文化の完成を見せる構成になっている。
玳玻散花文天目茶碗も展覧会のいわば「大トリ」として、この最後のコーナーに登場する。かつて松江藩七代藩主・松平治郷が愛蔵していたものだからだ。治郷は江戸時代後期に財政難に陥った藩政を立て直した有能な藩主だったが、今日では「不昧」という茶人としての号の方が遥かに有名だろう。
以前にも見る機会はあった名碗だが、今回の展示では、かつてなく美しい。特に圧巻が、内側の色彩の豊かさだ。口縁近くの青のラインがこんなに鮮やかに見えたことはなかったし、見込みにはピンクと黄色と青の極小の斑点が無数に広がり、それが距離を置いて見ると混じり合って見えて、独特の気品のある色合いを産み出しているのも、こんなに鮮やかだったとは
この鮮烈な展示、実は照明に仕掛けがある。今回、特別に照明付きのケースを新調し、光の波長をほぼ太陽光のそれに合わせたのだという。
つまりこの鮮やかな美しい色彩こそが過去の、電気の人工照明がなかった時代にこの碗を手にし、使い、愛好した人々が見ていた色、ということだ。
基本情報
Ⅰ期 2019年10月5日(土)~12月22日(日)
Ⅱ期 2020年1月11日(土)~3月29日(日)
10:00~17:00(入館は16:30まで)
会期中無休
拝観料
一般 800円
65歳以上・大学生 600円
中高生 300円
小学生 200円
※一般の方に限り、20名様以上は団体割引で各700円
主催
相国寺承天閣美術館、日本経済新聞社、京都新聞
協賛
一般財団法人 萬年会
協力
MBS
関連イベント
講演会「長次郎と光悦とわたし」
講師:樂 直入(陶芸家 十五代樂吉左衞門)
日時:2020年1月25日(土) 14:00~15:30 開場 13:30
定員:当日先着80名
講義「禅寺に息づく茶」
2020年2月22日(土) 14:00~
講師 本多潤子(当館学芸員)
ギャラリートーク
2020年2月1日(土) 14:00~
担当 本多潤子(当館学芸員)
「茶の湯ー禅と数寄」展 cinefil チケットプレゼント
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応募締め切り 2019年12月11日(水)24:00
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