連載:おしゃべりな映画たち
第5回 東京フィルメックス レビュー
国際映画祭に通う気持ちは、いつも、独特です。文脈や背景のわからない映画や作り手に、いきなり向き合う怖さと、今まで見たこともないような、すごい作品に出会うのではないかという期待で、緊張します。でも、今年は、身構えずに、向き合えました。この数ヶ月の経験がそうさせるのでしょうか。映画を映画館で見ることができる喜びに、心ゆくまで浸りたい。出会うべき映画に、出会いたい、という気持ちが何よりも先にたちました。
会場は、ほとんど、いつも満席。活気がある。来日が叶わぬ監督たちが、異国から、上映後のスクリーンに映し出され、観客からの質問に答える姿を見ていると、「離れているからこそ近づきたい」という感覚が、...