夜の葉〜映画をめぐる雑感〜
#23『急に具合が悪くなる』と宮野真生子・磯野真穂『急に具合が悪くなる』
偶然を生み出すことが出来たのは、自然発生だけではなく、そこに私たちがいたからです。それぞれに引き出す勇気をもち、偶然を必然として引き受ける覚悟をもって出会えたからです。
──宮野真生子(第10便)
宮野真生子・磯野真穂『急に具合が悪くなる』
書簡を映画にするということ
手紙は、遅れて届く言葉だ。出来事が起こり、それが過ぎ去ったあとで、人は机に向かって書きはじめる。書く時間と読まれる時間のあいだには、つねにずれがある。哲学者・宮野真生子と人類学者・磯野真穂が交わした往復書簡『急に具合が悪くなる』は、そのずれのなかで紡がれた二十通の言葉だった。がんの転移を生きる哲学者と、臨床の現場を歩いてき...