第39回バンクーバー国際映画祭が9月24日~10月7日(現地時間)の14日間にわたり開催された。今年は新型コロナウィルス感染拡大防止を考慮し初となるオンライン配信を中心としながら、数作品は劇場上映も交えて実施された。

画像: バンクーバー国際映画祭ロゴマーク

バンクーバー国際映画祭ロゴマーク

オープニング作品『Monkey Beach』(ロレッタ・サラ・トッド監督、カナダ)を皮切りに、長編102本、短編98本、トーク/イベントは19本が展開。中でも注目すべきは自国カナダ制作の長編映画のラインナップで、女性クリエイターによる作品が24本中14本ノミネーション、先住民の新進監督作品は11本選出されるなど幅広い選択肢を実現させる粒ぞろいの作品が揃った。

カナダ国外からのラインナップとしては、今年2月末に開催された第70回ベルリン映画祭金熊賞を受賞したイラン生まれのモハマド・ラスロフ監督作『There Is No Evil』(ドイツ)のカナダプレミアをはじめ、カンヌ国際映画祭やトロント国際映画祭でも上映されたフランソワ・オゾン監督の新作『Summer of 85』(フランス)、ヴィゴ・モーテンセンがキャリア初の監督を務めた『Falling』(カナダ)、マッツ・ミケルセン主演の『Another Round』(デンマーク)など。
また、ドキュメンタリー部門では、ショーン・ペンの活動家としての一面を追うドキュメンタリー『Citizen Penn』(アメリカ)がインターナショナルプレミア上映を飾った。日本からは、現在上映中の『人数の町』(荒木伸二監督)のカナダプレミアをはじめ、『スペシャルアクターズ』(上田慎一郎監督)、『酔うと化け物になる父がつらい』(片桐健滋監督)、『ダンシング・マリー』(SABU監督)の4本が正式招待作品として参加した。

最終日に発表された観客賞のグランプリは、1990年にカナダのケベック州で実際に起きた抗議活動を監督の実体験を基にして描かれたトレイシー・ディア監督による長編初監督作『Beans』が受賞。現地5日に発表された同映画祭でベスト・カナダ映画賞も受賞している本作は、10月頭に実施された北米最大級の国際映画祭であるトロント国際映画祭でも観客賞次点2位につけていた注目作だ。

画像: 第39回バンクーバー国際映画祭 閉幕!観客賞グランプリはトロント国際映画祭でも注目を集めたカナダ先住民の抗議活動を描く女性監督作『Beans』!

初長編監督作品で見事に受賞のトレイシー・ディア監督

『Beans』海外予告

画像: BEANS Official Teaser Trailer (2020) youtu.be

BEANS Official Teaser Trailer (2020)

youtu.be

**<その他 主な受賞結果一覧>
★観客賞グランプリ:『Beans』(トレイシー・ディア監督)
★ベスト・カナダ映画賞:『Beans』(トレイシー・ディア監督)
★ベスト・カナダ短編映画賞:『Bad Omen』(Salatar Pashtoonyar監督)
★ベスト・カナダドキュメンタリー賞:『Call Me Human』(Kim O'Bomsawin監督)**

チケットの販売は映画祭会期前に事前販売も行っていたが、映画祭初日には劇場鑑賞チケットはほとんど全日完売となる盛況ぶり。映画上映の他にも、VIFF恒例企画として人気の高い新進気鋭の若手映像作家へ向けた「TOTALLY INDIE DAY」をはじめ、急速に成長しつつあるVR/XRの世界や発展を伝える企画「VIFF Immersed」、映画に限らない映像に関わる“音楽“ にフューチャーした「VIFF AMP」も同時開催された。
同映画祭を主催する団体は年間を通して映画に多様性を求める活動やローカル支援、新人育成への活動へ力を注いでおり、同団体ならではの企画やセミナーが充実。どの上映にも冒頭には主催者からのコメント映像だけでなく、先住民のコメントが付随するなど、ローカルクリエイター達や映画の多様性を支援する姿勢も際立ち、フィルムメーカーたちが活動を広げるための場を提供する細かな配慮が光る映画の祭典となった。

画像: 筆者 梶田知実

筆者 梶田知実

梶田知実(かじた・ともみ)
東京出身。明治学院大学、文学部芸術学科映像専攻。
映画宣伝会社でパブリシストとして活動。そこから4年の時を経て
、現在ノースハリウッド=バンクーバーで奮闘中。

■会期:2020年9月24日(木)~10月7日(水)<14日間>
■上映:オンライン配信、劇場上映

■映画祭公式サイト:About VIFF | viff.org

This article is a sponsored article by
''.