ヘッダー画像:鏑木清方「新案双六当世二筋道」 (『文芸倶楽部』13 巻 1 号附録 1907(明治 40)年 博文館) 国立歴史民俗博物館蔵
「何故、男女は平等でなく、区分されたのでしょうか?」
「男女の区分の中で人々はどのように生きてきたのでしょうか?」
本展は、日本の長い歴史の中で、ジェンダー(性差)がどのような意味を持ち、どのように変化して来たのかを問う、歴史展示です。
歴史の中で記録されることの少なかった女性たちの姿を掘り起こす女性史研究を経て、重要文化財やユネスコ「世界の記憶」を含む 280 点以上の資料が紹介されています。
本展では、まず、政治の行われる空間に着目して、区分の始まりを考えます。人びとを「男」と「女」に二分し異なる役割を定める社会は、古代律令国家の形成とともに形づくられ、家が政治空間の場となった中世・近世、政治の場から女性を完全に排除する近代国家の確立を経て、現代に至っています。その過程はどのようなものだったのでしょうか。
また、仕事とくらしのなかの男女にも光を当てていきます。古代の木簡や古墳から出土する埴輪は、これまで知られてこなかった古代の男女の労働実態を物語っています。中世や近世の田植え、人びとの髪を結う仕事、さまざまな職人たちの姿からは、男の職業、女の職業という私たちのイメージが、いつ、どのように生まれてきたのかが浮かび上がってくるでしょう。
さらに、それぞれの時代の社会の特徴とジェンダーに大きく左右される性の歴史を、中世から戦後までの性の売買に注目して考えます。
それでは、シネフィルでも本展の構成に従って、各章ごとにジェンダーの歴史を辿ってみましょう。
第1章 古代社会の男女
人びとを「男」と「女」に二分し、異なる役割を定める制度、すなわちジェンダー区分は、律令国家の形成にともなって生まれ、社会に浸透していきました。第1章では、古墳時代から8世紀頃までの政治空間やサトのくらしと労働に着目して、ジェンダー区分の始まりから確立への過程を明らかにします。
第2章 中世の政治空間と男女
男女官人がともに奉仕する古代から、女性官僚が女房として御簾の向こう側の存在となっていく中世。政治空間としての家に着目し、女性も家長となり政治的権能を発揮していくことをご紹介します。
第3章 中世の家と宗教
中世の人びとにとって、宗教は極めて大きな力を持ちました。人びとの仏に寄せる思いは強烈ですが、一方で女性差別観の強まりが女性の救済願望をより強めた時代でもありました。
第4章 仕事とくらしのジェンダー ―中世から近世へ―
中世の「職人歌合」などでは、働く男女はいずれも「職人」として描かれました。しかし、近世になると「職人」から女性が排除され、女性が携わるわずかな職種については、「女職人鑑」のように「女」というジェンダー記号が付されるようになっていきます。
第5章 分離から排除へ ―近世・近代の政治空間とジェンダーの変容
近世の政治空間である将軍、大名の居城は、表と奥に区分され、女性は奥に閉じ込められてきたとするこれまでの研究。しかし、近年、奥で働く男性役人や、将軍・大名の妻、奧女中の政治的権能が明らかになってきました。さらに、そのような権能を否定し、政治の場から女性の排除を決定づけたのは、明治憲法体制でした。
第6章 性の売買と社会
職業としての売春が未成立であった古代社会を経て、中世には、芸能と売春を家業とする遊女の家が成立。近世には、人身売買による売春を幕府が公認する体制が作られ、全国の浦々に買売春が広がります。それは、近代にどのような影響を及ぼしていくのでしょうか。
第7章 仕事とくらしのジェンダー ―近代から現代へ―
紡績工場、鉱山、コンピュータ産業などの労働現場において、ジェンダーはどのような影響をおよぼしてきたのでしょうか。近現代の女性労働の実態、その改善のために努力したアメリカ人女性と日本の女性公務員たちの姿などを通して考えていきます。
無意識のうちに私たちを強くとらえているジェンダー。
その歴史は、驚きと発見に満ちています。
企画展示「性差(ジェンダー)の日本史」によって、今まで触れられなかった歴史の扉を開いてください。
いつか、ジェンダーにとらわれず、誰もが自分らしく生きられる社会が築かれることを祈っています。
展覧会概要
展 覧 会 名 企画展示「性差(ジェンダー)の日本史」
会 期 2020 年 10 月 6 日(火)~12 月 6 日(日)
会 場 国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B (〒285-8502 千葉県佐倉市城内町 117)
共 同 主 催 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館
休 館 日 月曜日(休日にあたる場合は開館し、翌日休館)
開 館 時 間 9:30 ~ 16:30(入館は 16:00 まで)
※開館日・開館時間を変更する場合があります。
企画展示会場内の混雑防止のため、会期中の土・日・祝日、終了前1週間につきましては、webからのオンライン入場日時指定事前予約を受け付けています。事前予約をされた方は、ご希望の時間にご入室いただけますが、ご予約のない方も、定員に達していない時間帯は、当日来館しての時間指定が可能です。ただし、事前予約が優先となり、ご希望に添えないことがありますので、ご了承ください。詳細はhttps://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/project/procedure.html
料 金 一般 1,000 円/大学生 500 円
※あわせて総合展示もご覧になれます。
※高校生以下は入館料無料です。
※高校生及び大学生の方は、学生証等を提示してください。
(専門学校生など高校生及び大学生に相当する生徒、学生も同様です)
※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介助者と共に入館が無料です。
※本展半券の提示で当日に限りくらしの植物苑にご入場できます。
お 問 い 合 わ せ ハローダイヤル:050-5541-8600 (8:00~22:00)
「性差(ジェンダー)の日本史」シネフィルチケットプレゼント
下記の必要事項をご記入の上、「性差(ジェンダー)の日本史」@千葉 cinefil チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効の、この招待券は、非売品です。
チケットの転売は禁止です。
☆応募先メールアドレス info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2020年10月26日 月曜日 24:00
記載内容
1、氏名
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
5、記事を読んでみたい監督、俳優名、アーティスト名
6、読んでみたい執筆者
7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、
5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
(複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。
また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。