世界的な女性監督のアニエス・ヴァルダがフランスの自宅で家族や友人に見守られながらも乳がんのために亡くなったことが海外メディアで報じられています。90歳。
簡単な略歴は下記のとおりです。
アニエス・ヴァルダ
1928年、ベルギーのブリュッセルに生まれる。
父親はギリシャ人、母親はフランス人で、5人兄弟姉妹の真ん中として育つ。
第二次世界大戦中の1940年、家族で南フランスに疎開。
高校を卒業後、パリに移りソルボンヌ大学で文学と心理学の学士号を取得する。
その後、学芸員になるためにルーヴル学院で美術史を学ぶも、手に職をつけたいとルイ・
リュミエール国立学校で写真の夜間クラスを受講した。
幼馴染だった演出家のジャン・ヴィラールが1948年にアヴィニョン演劇祭を始めた時に専属カ
メラマンになり、ヴィラール率いるTNP(フランス国立民衆劇場)の専属カメラマンも1951年から10年間務めた。1954年、自宅の庭で初の個展を開催。同じ年、写真に飽き足らなくなり、
友人アラン・レネの勧めで映画制作を開始し、デビュー作『ラ・ポワント・クールト』を監督した。この作品でヌーヴェル・ヴァーグの一派である"セーヌ左岸派"を代表する作家となる。
1958年、同じく左岸派の映画監督だったジャック・ドゥミと出会い、1962年に結婚。
同年に初長編『5時から7時までのクレオ』を制作。
1965年の『幸福』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。以降、フィクションとドキュメンタリー双方の作品を多数、監督しており、2018年、第90回アカデミー賞で、長年の功績を称え名誉賞が授与された。
「ヌーヴェルヴァーグの祖母」とも呼ばれ、2015年にカンヌ国際映画祭で名誉パルムドールを受賞し、2018年にアカデミー賞名誉賞を女性監督として初めて受賞するなど、世界の映画界でも輝かしい人生を祝福されたアニエス・ヴェルダ。
ご冥福をお祈りいたします。
R.I.P
2018年には、『顔たち、ところどころ』の日本での公開へ向けてメッセージなども送られてきていました。
下記、メッセージ動画
代表作などの予告など
『5時から7時までのクレオ』 Cléo de 5 à 7 (1961年)
第15回カンヌ国際映画祭に正式出品
『幸福 』Le Bonheur (1965年)
ベルリン国際映画祭銀熊賞、審査員特別賞
キネマ旬報外国映画ベストテン第3位(1966年)
『冬の旅』 Sans toit ni loi (1985年)
ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞
『アニエスv.によるジェーン』b. Jane B. par Agnès V. (1987年)
時代のアイコンだったジェーン・バーキンを撮った作品。
セルジュ・ゲンズブールや、ジャン=ピエール・レオなども出演
『百一夜 』Les Cent et une nuits de Simon Cinéma (1995年)
映画発明100年を記念して作られたフィクションとドキュメンタリーを織り交ぜたコメディ。
欧米のスターの錚々たるメンバーが集結。
『アニエスの浜辺』 Les Plages d'Agnès (2008年)
第34回セザール賞 ドキュメンタリー映画賞
第35回ロサンゼルス映画批評家協会賞 ドキュメンタリー映画賞
『顔たち、ところどころ』Visages Villages (2017年)
アーティストJRとの共同監督
カンヌ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞
アカデミー賞ドキュメンタリー部門ノミネート
2019年には、ベルリン国際映画祭で発表された下記の自伝的なドキュメンタリー初演しました。