連載:おしゃべりな映画たち 第13回
『冬の旅』(1985年/アニエス・ヴァルダ監督)
何の経験もないくせに、「自分なら、社会の規範に従わずに、何ももたずに、自由に生きられるはず」と、考える傲慢な年頃。17、8の頃に、繰り返し何度も何度も見たのは、この映画が、その考え方で、ふるまった結果、あっさり死んでしまう若い女性を描いているからなのです。わざわざ、冬に、田舎をヒッチハイクしてまわる。何にも囚われず自由そうに見えるけど。心身ともに追い詰められて野垂れ死ます。
主人公のかっこよさに憧れてみるという感情もあったし、最悪の想定として、こわごわ、みるという意味もあったし、あるいは、矛盾多き社会を批判してくれる社会派映画として解釈したかったのかもしれません
しかし、歳をとった今、見...