『時代屋の女房』『美味しんぼ』『ペコロスの母に会いに行く』などの名匠 森崎東監督と伊藤智生監督の関係は、『ゴンドラ』公開時よりさらに10年さかのぼり、すでに40年の月日が流れている。その理由は、森崎東監督が松竹退社後、フリーとなってATGからの第1回作品『黒木太郎の愛と冒険』(1977年)の中にある。

画像: http://www.asahi-net.or.jp/~hi2h-ikd/film/morisakidata/da002770.htm

http://www.asahi-net.or.jp/~hi2h-ikd/film/morisakidata/da002770.htm

出演していたのは田中邦衛、倍賞美津子、清川虹子、財津一郎、小沢昭一、緑魔子、三国連太郎という当時の大スターたちに混じって伊藤智生監督(伊藤裕一)は、映画監督を目指す青年 伊藤統一役として、重要な役で、役者としてデビューしていたのだった。

定時制高校に通う伊藤銃一は、親友の公一と勉と一緒に8ミリ映画を撮ったりしている。勉にはスタントマンをやっている文句さんという伯父がいた。文句さんの奥さんはかつて女優で、銃一はその美しさに惹かれており、いつか奥さんの女優復活映画を制作しようと夢見ていた。銃一の下宿の世話などをしてくれたゴメさんが亡くなり、文句さんと銃一の二人は遺骨をゴメさんの妹のもとへ。妹の吹雪は夫とともに床屋を営んでいたが、二階で下宿する女教師が大量の猫を飼っていたため、階下にノミが落ちてくるのだった。部屋に潜り込んだ文句さんは女教師を襲い、猫を追い出すことに成功する。

当時の自身そのままのような役を演じた伊藤智生監督が、その10年後、実際初長編『ゴンドラ』を取った時に、森崎監督は下記のような言葉を寄せている。

「ゴンドラ」は迸る作品だ。水彩画の筆の動きに、微かな、幼児の記憶のように幽かな音を入れる、という感性の迸りに、日本映画、いや全映画の中で、かつてなかったこの大胆で繊細きわまる感性の迸りに、そしてラストシーンの夥しい灯のゆらめきの迸るような美しさに感動しない人はいない筈だ。今、この映画の迸りは、せき止められている。日本映画界は、この迸るものをして、完全に、烈しく迸らしめねばならない。
森崎 東(映画監督)

今回、ご紹介するインタビューでは、そんな、師のような存在の森崎東監督に、伊藤監督は30年の時を経て怒られたというエピソード。そして、今監督自身が、今回のリバイバル上映に向けて思うことなどを語っていただいた。

今、30年の時を経て再び”静かに”拡がりつつある『ゴンドラ』上映への期待ー。
私たちは、今も多く存在する少女”かがり”の瞳に何を見出すことが、できるのだろうか?
魂の救済を描いたロードムービー『ゴンドラ』の再上映は間も無く始まる。

映画『ゴンドラ』シーン写真

画像1: 映画『ゴンドラ』シーン写真
画像2: 映画『ゴンドラ』シーン写真
画像3: 映画『ゴンドラ』シーン写真

リバイバル上映に向けてメッセージを語ってくれたTOHJIROこと伊藤智生監督インタビュー(後編)

画像: 映画『ゴンドラ』インタビュー(後半) youtu.be

映画『ゴンドラ』インタビュー(後半)

youtu.be

ストーリー
高層ビル街の上空で、ゴンドラに乗って黙々と窓を拭く青年。
窓ガラスの向こう側は彼にとって音のない別世界。
眼下にはミニチュアールな都会の光景
―ノイズが波の音に聴こえ、彼の目には海の幻が重なる ―。

11歳のかがりは、母・れい子とふたりでマンション暮らし。
母は音楽家の夫と離婚し、夜の仕事で忙しい。
かがりの晩ごはんは個食。
彼女のひとり遊びの相手は、二羽の白い文鳥、
そして音叉の響きに耳を澄ますことだった。
―Aの音― その響きは、かがりの心を落ち着かせ、調律した。

ある日、鳥かごの文鳥が激しく争い、1羽が傷つく。
瀕死のチーコを両掌に抱きとり、
茫然自失として立ち尽すかがりを、
窓の外を降りてきた窓掃除の青年が目撃する・・・そして・・・

魂の救済を描いたロードムービー映画『ゴンドラ』予告

画像: 伊藤智生監督『ゴンドラ』予告(完成版) youtu.be

伊藤智生監督『ゴンドラ』予告(完成版)

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出演
上村佳子・界 健太(新人)
木内みどり・出門 英
佐々木すみ江・佐藤英夫
鈴木正幸・長谷川初範(友情出演)
奥西純子・木村吉邦

原案・脚本 伊藤智生 棗 耶子
撮影 瓜生敏彦
照明 渡辺 生
編集 掛須秀一
音楽 吉田 智
音響 松浦典良
効果 今野康之
録音 大塚晴寿
助監督 長村雅文 飯田譲治
ネガ編集 小野寺桂子
衣装 藤井 操
美術装置 張ケ谷 実
メイク 立川須美子
アニメーション制作 スタジオぎゃろっぷ
制作進行 四海 満 小宮 真
プロデューサー 貞末麻哉子
監督 伊藤智生(TOHJIRO)
製作OMプロダクション 1986年制作 公開年度1988年
オリジナル・フィルム=35mm・スタンダード・イーストマンカラー・劇映画・112分
デジタル・リマスター版 制作・配給 Teamゴンドラ

2017年1月28日より 渋谷・ユーロスペースにて 一週間の限定レイトショー
(オリジナル35ミリフィルムで上映)
2017年2月11日より ポレポレ東中野にて二週間
(デジタル・リマスター版にて上映)

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