夜の葉~映画をめぐる雑感~
#特別寄稿
『レディ・バード』木村有理子
この映画を見おわるとき、まるで誰かが一人で祈っているのを見ているような、静かで厳かな気持ちになったのは、なぜだろう。
確かに、この映画の描写は優れている。若者に起こりがちな恥ずかしい経験を白日のもとに晒す。その証拠に、この映画を見ていて、思春期にまつわる、どうしようもない記憶が、とめどなく溢れて来た。恥ずかしいペンネームで詩を書いて友達に配っていたこと。誰もいない教室で、友達とその詩を朗読しあっていたこと。制限体重と身長と年齢をとうに上回っている、というか、そもそも大柄な体型なのに、絶対に競馬の騎手になりたくて、友達に騎手になると宣言し、騎手訓練学校への入学問い合わせを繰り返していたこと...