夜の葉~映画をめぐる雑感~
#4 『みちていく』『感光以前』『みつこと宇宙こぶ』と
ル・クレジオ『物質的恍惚』
生まれたということ、それは狭い宇宙――影響力は数限りなく、一つ一つの細部、過ぎゆく一秒一秒が重要で、痕跡を残す宇宙に、浸っているということだ。だからそれは苦しむということだ。この苦しみを謳歌してもよい、それを呪ってもよい。闘うときには、どんな武器だって役に立つのだ。
生きてあるということ、それはまず何よりも見つめる術を知ることだ。人生が確実なものと感じられない人たちにとって、見つめることは一つの行動である。それは生ける存在の第一の効果的享楽なのだ。彼は生まれた。世界は彼のまわりにある。世界は彼である。彼にはそれが見える。彼はそれを見つめる。
ル・クレジオ『物質的恍惚』
「兄さん、個は種を...