正倉院の宝物が毎年恒例の奈良だけでなく東京でも公開。「文化のチカラ」で国をまとめようとして来た天皇家と日本の原点・奈良国立博物館「第71回正倉院展」・東京国立博物館「正倉院の世界」
奈良観光の秋の定番といえば「正倉院展」だが、今年は天皇家「お代替わり」記念で東京でも正倉院宝物を見られる。東京国立博物館の「正倉院の世界」展だ。
日本史の教科書でも知られる名品では、東京では「螺鈿紫檀五絃琵琶」が、奈良では「鳥毛立女屏風」の全6扇が展示されている。あまりに宝物の数が膨大で(約9000点)、毎年奈良で「正倉院展」があってもそうしょっちゅう見られない現物、というだけでもチャンスだ。例えば「螺鈿紫檀五絃琵琶」は、教科書でおなじみのラクダと椰子があしらわれた異国情緒たっぷりの表側だけでなく、裏をこそじっくり見たい。東アジアの螺鈿細工の長い伝統の中でも最高峰の、豪勢で華麗で精緻な宝...