形あるものはいつかその形を失う、だからと言って放っておいていいわけではない〜奈良国立博物館・特集展示「新たに修理された文化財」
形あるものはいつかはその形を失い、朽ちて果てる。
仏教(無常、色即是空)に限らずあらゆる宗教や思想哲学の根幹のどこかにある、「世界」について考える時に誰もが気が付く真理だ。芸術作品や文化財でも、絵画なら絵の具の色素はいつかは褪色するだろうしベースになる布や紙、あるいは板も朽ちてしまうだろうし、絵の具が剥落することもある。映像なら古い映画は「雨が降る」つまりフィルムの走行方向の縦キズが目立つことが多かったが、さらに1950年代初頭までのフィルムは可燃性のセルロースのベースにゼラチンで銀粒子や化学物質を定着させていたので極めて燃えやすく(要は火薬と似通った化学組成)、セルロースが湿気を吸って...