《 寄稿》台湾映画の新境地を開く意欲作-今秋公開『ザ・レセプショニスト』の魅力-小島あつ子
台湾映画の新境地を開く意欲作
『ザ・レセプショニスト』
台湾映画同好会 小島あつ子
台湾映画ファンにとって、台湾映画の魅力のひとつは、作品を通して台湾社会そのものが見えてくることだ。これは’80~’90年代に世界中のシネフィルを魅了した台湾ニューシネマのころから最近の作品まで、実は一貫している。
テーマは歴史や文化、多様性、身近な社会問題や日常生活のなかのちょっとした出来事などと多岐にわたるが、複雑な政治的・歴史的背景と、多様性を持つ社会に生きる人々に寄り添い、「自分たちの言葉で語る自分たちのための物語」が紡ぎだされてきた。ここ数年で盛んに製作されるようになってきたホラーやサスペンスの、...