北島博士のおもしろ映画講座 第68回 衝撃のディストピア・ミステリー『人数の町』
『人数の町』
労働をしなくても衣食住が保証される不思議な町。
蜘蛛の巣にかかった昆虫のように、この町に取り込まれた青年の数奇な日々を描く不条理ダーク・スリラーである。似たような設定の英米のTVシリーズいくつかを連想するが、日本を舞台にした作品となると、違和感を禁じ得ない。アメリカなら土地も広大だし、さまざまなカルトもありそうなので、さもありなんという気にもなるが、狭い日本で、この町の存在がばれないなんてことがあるだろうかという疑問がうかんでくる。
借金取りにぼこぼこにされた蒼山は、黄色いつなぎを着た髭男に居場所を紹介してやると言われ、深く考えもせずにバスに乗り込んだ。ついた先は人里離れた...