夜の葉~映画をめぐる雑感~
#12『家族を想うとき』とベルトルト・ブレヒト「この世界のやさしさについて」「反歌」
この世界のやさしさについて
1 冷たい風ばかりのこの世に
君たちはみな丸裸で送り出された
無一物で凍えてころがっていた君たちに
女がおむつをあてがってくれた
2 誰も君たちを呼んだりしなかった 君たちは求められていなかった
いっしょに道づれにしたりもしなかった
この世で君たちは見知らぬ人だったが
男がきて片手をひいてくれた
3 冷たい風ばかりのこの世から
君たちはみなかさぶただらけのからだで去っていく
ほとんど誰もがこの世が好きだったが
二つの手で土をかけられてしまう
ーーベルトルト・ブレヒト「この世界のやさしさについて」(1920)
反歌
ぼくらはつつましく「こうなのだから これはこの...