北島博士のおもしろ映画講座 第56回 -命がけの撮影による傑作ドキュメンタリー『フリーソロ』エリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィ監督に聞く!
ロック・クライミングの中でも最も危険なものが、本作で紹介されるフリーソロ。
滑落を防ぐロープやハーケンなどの安全器具を使わず、己の肉体だけを使い、岩肌のわずかな凸部や裂け目に手足をかけたり、押し込んだりして登っていく。時にはスイングしたり、飛びついたりと、死と隣り合わせの難行苦行であり、わずかな気のゆるみも命取りになる。たとえ気を張っていても、風や急変する山の天気、体力の減退、さまざまな不確定要素がクライマーを危険に陥れる。
本作「フリーソロ」はアレックス・オノルドが、カリフォーニア州ヨセミテ国立公園に垂直にそそりたつ975メートルの岩壁エル・キャピタンに、挑戦するさまを記録したドキュメ...