寄稿「台湾映画のいま」台湾出身の女性監督が描く『ザ・レセプショニスト』(接線員)を巡って 江口洋子
『ザ・レセプショニスト』(接線員)が台湾で公開された2017年は、豊作の年であった。メガヒットと呼ばれる1億台湾ドル(約3億7千万円)超えはホラーの『紅衣小女孩2』1本のみだったが、終盤でグングン数字を伸ばした“色と欲”の裏にある人間ドラマを見事に描いた『血觀音』や、格差社会をシニカルな笑いと斬新な映像で表現した『大佛普拉斯』がロングランヒットでベスト10に食い込むなど、興味深い現象が多々あった。『目擊者 闇の中の瞳(原題:目擊者)』の成功でジャンル映画の成長も著しく、『報告老師!怪怪怪怪物!』や『盜命師』という佳作も生まれた。また、台湾は早くからLGBTを扱った数多い秀作を産んできたが...