連載:おしゃべりな映画たち 第8回
『TITANE/チタン』(2021年/ジュリア・デュクルノー監督)
わたしたちの心は、もう、そこには、ない。
交通事故で、破損した頭骨に、補強のチタン・プレートを埋め込まれる少女が突然変異を起こしていく映画だ。冷え冷えとした金属の感触と、疼くような炎の暴力性と、劇画すれすれのユーモアに、身体の芯を動かされる。
そういえば、わたしも、この少女のように、身体をひどく破損したことがあったのだったっけ。恐怖で暴れないように、目を塞がれて、肉や血液が飛び散らないように大きなビニールシートで体を覆われる。局部麻酔はきいていたけれど、ドリルが自分の肉と骨を貫通していく振動を感じる。左肘にチタンの棒が通っていく感触。身体は、起こったことを、何もかもを受けいれる。私の身体...