ギュスターヴ・モロー展
サロメと宿命の女たち ― 男を破滅へ導く美しき誘惑
こんなにも観るものに衝撃を与える絵画がかつてあったでしょうか?
教科書でも印象深い、ギュスターヴ・モロー(1826~1898)の名作《出現》で、ユダヤの王女サロメが指さす先には、残虐にも、斬首された洗礼者聖ヨハネの首の幻影が宙に浮かんでいるのです。
19世紀後半のフランスで産業が発達し、現実の世界を描く写実主義が全盛期を迎える中で、モローが確立した幻想的な世界は、象徴主義と呼ばれ、注目を集めました。
モネやルノワールに代表される印象派は、目に見える自然の世界を表現しようとしましたが、モローは、神話や聖書の物語を題材にし、歴史画にとどまらず、斬新で神秘的な内面の世界を描こうとしたのです。
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