「YBA(Young・British・Artists)」とは、1980年代末から90年代にかけてロンドンを中心に活動したイギリスの現代アート作家たちのこと。
YBAの作家たちの自由な活動により、90年代の英国のアートシーンは、世界的に注目を集めることになりました。ダミアン・ハーストやトレイシー・エミンといった現在も世界的に活躍するアーティストたちの原点としても知られています。

このたび、「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート」が、東京・国立新美術館にて(2月11日〜5月11日)大盛況を博し、京都市京セラ美術館では、6月3日〜9月6日に開催されます。本展は、英国美術の世界的中心であるテート美術館のコレクションを中心に、1990年代の英国美術の革新的な創作の軌跡をたどる大規模展です。

本展では、ダミアン・ハースト、ジュリアン・オピー、ルベイナ・ヒミド、トレイシー・エミン、ヴォルフガング・ティルマンスなど、世界のアート史にその名を刻む錚々たるアーティストの作品が集結しています。
大衆文化、個人的な物語や社会構造の変化などをテーマとした絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションなど様々な手法を用いて独創的な作品を発表してきた約50名を超える気鋭のスターアーティストたちによる約90点の作品をご堪能ください。

英国の美の殿堂・テート美術館の敏腕キュレーター、グレゴール・ミューアとヘレン・リトルによって、企画された本展は、90年代英国美術の熱い鼓動を伝えてくれます。
90年代英国のアートシーンにおける革命的ムーブメントの核心をご覧ください。

画像: ヴォルフガング・ティルマンス《ザ・コック(キス)》2002年 テート美術館蔵 © Wolfgang Tillmans, Courtesy of Maureen Paley, London; Galerie Buchholz; David Zwirner, New York

ヴォルフガング・ティルマンス《ザ・コック(キス)》2002年 テート美術館蔵
© Wolfgang Tillmans, Courtesy of Maureen Paley, London; Galerie Buchholz; David
Zwirner, New York

本展では、90年代の英国美術の独自性を6つのテーマを通じて検証し、各章をつなぐ重要な作品が「スポットライト」として紹介されています。

序章 フランシス・ベーコンからブリットポップへ

20世紀美術史において最も著名な画家の一人、フランシス・ベーコン(1909-92年)は生涯を通じて肉体の表現を徹底して追究し、暴力、苦痛、むき出しの感情で満たされたイメージを創造しました。不都合な真実に向き合い、人間存在の暗部を掘り下げようとするベーコンの姿勢に影響を受け、かつてないほど強く率直な感情表現を伴って作品制作への様々なアプローチを開拓しようとした当時のアーティストたちの意思こそ、本展の核心を貫くものです。

画像: ダミアン・ハースト《後天的な回避不能》1991年 テート美術館蔵 Photographed by Prudence Cuming Associates© Damien Hirst and Science Ltd. All rights reserved, DACS & JASPAR 2026 G4170

ダミアン・ハースト《後天的な回避不能》1991年 テート美術館蔵 Photographed by Prudence Cuming Associates© Damien Hirst and Science Ltd. All rights reserved, DACS & JASPAR 2026 G4170  

第1章 ブロークン・イングリッシュ:ニュー・ジェネレーションの登場

サッチャー政権下の不安定な社会情勢の中で新世代のアーティストたちは、アイデンティティや社会における自身の存在の位置づけ、地域の共同体のあり方が揺らぎ続けることを創作のテーマに据え始めます。
1988年8月、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで学んでいたダミアン・ハーストは、ロンドン東部の倉庫街で学生や卒業生の作品を発表する展覧会「フリーズ」展を企画し、これがYBAのムーブメントの起点となったのです。さらに、1989年のヘイワード・ギャラリーでの「ジ・アザー・ストーリー」展は、多文化社会において「英国らしさ」という伝統的な概念に揺さぶりをかけました。

画像: ギルバート&ジョージ《裸の目》 1994年 テート美術館蔵  Photo: Tate ⓒ Gilbert & George

ギルバート&ジョージ《裸の目》 1994年 テート美術館蔵  Photo: Tate ⓒ Gilbert & George

第2章 おおぐま座:都市のイメージをつなぐ

英国の伝統的な製造業は1990年代初頭までに衰退し、経済不況によって未完成のビルや空き店舗、廃墟と化した建設現場が都市の至る所で目立つようになっていきました。
打ち捨てられた物や空間に目を向けながら都市の新しいイメージが生まれる社会的・地理的な経験を探究したアーティストたちは、地域社会のアイデンティティを侵食する社会的・経済的な変化に批判的なまなざしを向け、都市に広がるメランコリーや人々の疎外感を表現しました。

画像: ジリアン・ウェアリング《ダンシング・イン・ペッカム》 1994年 ⓒ Gillian Wearing, courtesy Maureen Paley, London; Regen Projects, Los Angeles and Tanya Bonakdar, New York

ジリアン・ウェアリング《ダンシング・イン・ペッカム》 1994年
ⓒ Gillian Wearing, courtesy Maureen Paley, London; Regen Projects, Los Angeles and Tanya Bonakdar, New York

第3章 あの瞬間を共有する:音楽、サブカルチャー、ファッション

1990年代の英国では、美術、広告、ファッション、音楽の各業界が新しく多様な形で互いに関係を作り上げるようになっていました。アーティストたちは芸術の伝統的な枠組みを打ち破るために音楽の開放的な力に積極的に関わり、作品を通して、急速に変化する政治や社会の中でかけがえのない瞬間や人間同士のつながりを大切にする価値観を共有しました。

画像: ヴォルフガング・ティルマンス《座るケイト》 1996年  テート美術館蔵 © Wolfgang Tillmans, courtesy of Maureen Paley, London; Galerie Buchholz; David Zwirner, New York

ヴォルフガング・ティルマンス《座るケイト》 1996年  テート美術館蔵
© Wolfgang Tillmans, courtesy of Maureen Paley, London; Galerie Buchholz; David Zwirner, New York

[スポットライト]

画像: トレイシー・エミン《なぜ私はダンサーにならなかったのか》 1995年 テート美術館蔵 © Tracey Emin

 トレイシー・エミン《なぜ私はダンサーにならなかったのか》 1995年 テート美術館蔵 © Tracey Emin

トレイシー・エミンによる自伝的ヴィデオ作品。映像の前半では育った海辺のリゾート地マーゲイトの風景が映し出され、ティーンエイジャーだった頃の苦しみを語っています。後半ではシルヴェスターのヒット曲「ユー・メイク・ミー・フィール(マイティ・リアル)」(1978年)に合わせて楽しそうに踊り出し、それは過去の苦い経験への勝利を示すものです。

第4章 現代医学

1990年に開催されたグループ展「現代医学」展は、アーティストが芸術・人間らしさ・身体と心の複雑な関係と向き合った画期的な出来事として英国美術史においてよく言及される展覧会です。HIV/エイズ危機が恐怖とスティグマをもたらす中、当時の英国の性に関する政治性を定義するにあたって中心的な役割を果たしたアーティストたちの作品が集められています。

画像: デレク・ジャーマン《運動失調―エイズは楽しい》 1993年 テート美術館蔵 Photo: Tate ⓒ The estate of Derek Jarman. Courtesy of The Keith Collins Will Trust

デレク・ジャーマン《運動失調―エイズは楽しい》 1993年 テート美術館蔵
Photo: Tate ⓒ The estate of Derek Jarman. Courtesy of The Keith Collins Will Trust

第5章 家という個人的空間

90年代の英国アーティストたちは、家族・家庭のあり方・家にまつわる慣習的な表象に挑戦しました。消費主義社会や中流階級の願望に応答するように、家庭生活の荒々しく混沌とした現実を展示空間に再現し、日用品を作品素材として提示することで個人的空間が価値観を形作る過程を人々に問い直しています。

画像: グレイソン・ペリー《私の神々》 1994年 テート美術館蔵 © Grayson Perry. Courtesy the artist and Victoria Miro

グレイソン・ペリー《私の神々》 1994年 テート美術館蔵
© Grayson Perry. Courtesy the artist and Victoria Miro

[スポットライト]

画像: コーネリア・パーカー《コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ》 1991年 テート美術館蔵 Photo: Tate © Cornelia Parker. Courtesy Frith Street Gallery, London

コーネリア・パーカー《コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ》
1991年 テート美術館蔵 Photo: Tate © Cornelia Parker. Courtesy Frith Street Gallery, London

日常的に目にするものを大量に集め、時に変形させ、天井から吊るす彫刻作品で知られるコーネリア・パーカーの初期の代表作の原題「An Exploded View」は「爆発の光景」と「分解図」の二つの意味を兼ねています。英国陸軍に依頼して実際に爆破した庭の物置小屋の残骸を天井から吊るし、中央に電球を設置した本作は、小屋の断片が空間に浮遊しているように見え、爆発の瞬間を切り取ったかのようなイメージを作り出しています。

第6章 なんでもないものから何かが生まれる:身近にあるもの

1990年代の多くのアーティストは、安価で手に入りやすく、それ以前は芸術作品の制作に適さないと考えられていた日用品を素材として採用するようになりました。最もささやかな介入によって最も大きなインパクトを与えることができるというアーティストの考察を体現した、「出来事や社会的な空間としての芸術」がここに集まっています。

画像: トレイシー・エミン《モニュメント・バレー(壮大なスケール)》 1995ー97年 テート美術館蔵 Photo: Tate ⓒ Tracey Emin

トレイシー・エミン《モニュメント・バレー(壮大なスケール)》 1995ー97年 テート美術館蔵
Photo: Tate ⓒ Tracey Emin

ルネサンスやバロック、印象派など様々なアート革命がなされましたが、90年代英国のアートムーブメントは、常識を覆す、世界を揺るがす衝撃的な芸術となりました。是非、この感動を美術館でご体感ください。

「テート美術館-YBA & BEYOND 世界を変えた90s 英国アート」の公式テーマソングとして、Vaundy(バウンディ)の「シンギュラリティ」が配信されています。
イギリス滞在時にテートモダンをよく訪れたというVaundy 。一人ゆっくりとした時間を過ごし、たくさんの刺激をもらったそうです。「シンギュラリティ」は時代や場所を問わず、すべてのものづくりへの愛を表した曲だそうで、こちらも是非、お楽しみください。

展覧会概要

会期 2026年6月3日(水)~2026年9月6日(日)
会場 京都市京セラ美術館
展示室 新館 東山キューブ
住所 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
時間 10:00~18:00
休館日 月曜日(祝日の場合は開館)
TEL 075-771-4334
観覧料など詳細は下記展覧会公式サイトに触れて頂きますと、ご覧いただけます。

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「テート美術館 ー YBA & BEYOND 世界を変えた90s 英国アート」@京都市京セラ美術館 シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上2組4名様に、招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2026年6月22日 月曜日 24:00
記載内容
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