(カバー画像)「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

優雅で華やかな着物は日本が世界に誇る伝統文化です。
“Wearable Art(着るアート)”とも称される「きもの」は、装いとして、また美術品として国内外で熱い視線を集めています。
このたび「きもの」のデザインにスポットを当てた展覧会「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」が、2025年9月15日(月・祝)まで京都国立近代美術館にて開催中です。

「きもの」は平面に広げても美しく、人が身にまとえば立体になって衣裳としての喜びを与えてくれます。本展では、江戸時代から現代まで、平面の美と立体の美を内包する「きもの」の多種多様なデザインが生み出されてきた背景と制作者たちの創意(きもののヒミツ)が紹介されています。 合計約100点にも及ぶ明治時代から昭和時代初期にかけての友禅染裂の展示は、さまざまな流行が反映されていて、本展の見どころの一つです。

また、本展で展示される岸竹堂の《大津唐崎図》《梅図》が、国の重要文化財に新たに登録されることが決定しました。京都国立近代美術館での展示が、指定決定後初めての公開となっています。《大津唐崎図》は、琵琶湖畔の風景が描かれた岸竹堂(1826-97)の代表作で、明治時代初期の作品でありながら、西洋絵画や写真を連想させる空間表現に先駆性が感じられる作品です。《梅図》は、当初《大津唐崎図》の裏面に表具されていて、附(つけたり)指定されることになりました。

本展は、今年で創業470年を迎える京都の企業・株式会社千總ホールディングスの特別協力のもとに実現しました。是非、この機会に長年にわたる京都のものづくりの蓄積と歩みをご覧ください。 それでは展覧会構成に従っていくつかの「きもの」作品や下絵、原画などを観ていきましょう。

画像: 展覧会風景「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

展覧会風景「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

第1章 平面と立体のあいだで きものと雛形本

桃山時代から江戸時代、小袖が現代の「きもの」のように着用されるようになります。また江戸時代初期には、「きもの」のかたちをそのまま活かした意匠と模様構成が多く見られるようになりました。
その後、江戸時代中期には友禅染の技法が完成して絵画的な意匠や模様が発達します。こうした状況を背景に、小袖の形に模様や色などを記した見本帳「雛形本」が流通し、流行が生まれ、自然や文学をモチーフに様々な意匠が考案されました。第1章では近世を中心とする小袖などのきものや小袖雛形本が紹介されています。

画像: 《小袖 白綸子地立木薔薇模様》19世紀初期 株式会社千總ホールディングス蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

《小袖 白綸子地立木薔薇模様》19世紀初期 株式会社千總ホールディングス蔵
「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

画像: 打掛 紅綸子地疋田七宝繋ぎ四季花束模様 江戸時代後期(18世紀後期)株式会社千總ホールディングス蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

打掛 紅綸子地疋田七宝繋ぎ四季花束模様 江戸時代後期(18世紀後期)株式会社千總ホールディングス蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

第2章 京都画壇の日本画と下図、染色図案

幕末に入り、多くの流行を生み出した小袖も、パターン構成が次第に形式化していきました。明治時代に入ると、京都では千總の十二代西村總左衛門が日本画家に図案作成を依頼するなど、京都画壇を中心とする作家らの構想力や空間構成を活かした新たな染織図案が生み出されます。
近代京都画壇には円山応挙を源流とする円山・四条派に連なる画家が多く、写生や写実、優れた空間構成をもとにした絵画を描いています。彼らとの協働を通じてきもの(友禅)図案は新たな時代を迎え、次々と斬新な意匠が登場しました。
第2章では、着物の意匠として取り入れられていった画家たちの作品が染織品とともに展示されています。

画像1: 重要文化財 円山応挙《写生図巻 (甲巻)》(部分)1771-72年 株式会社千總ホールディングス蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

重要文化財 円山応挙《写生図巻 (甲巻)》(部分)1771-72年 株式会社千總ホールディングス蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影
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画像2: 重要文化財 円山応挙《写生図巻 (甲巻)》(部分)1771-72年 株式会社千總ホールディングス蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

重要文化財 円山応挙《写生図巻 (甲巻)》(部分)1771-72年 株式会社千總ホールディングス蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影
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画像: 幸野楳嶺 下絵《友禅染裂 御簾に大菊》1890年 株式会社千總ホールディングス蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

幸野楳嶺 下絵《友禅染裂 御簾に大菊》1890年 株式会社千總ホールディングス蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

画像: 展覧会風景 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

展覧会風景 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

画像: 今尾景年 下絵《友禅染裂 花尽くし》1877年 株式会社千總ホールディングス蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

今尾景年 下絵《友禅染裂 花尽くし》1877年 株式会社千總ホールディングス蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

第3章 図案から染織品へ 描かれた図案と染められた図案

新たな意匠・模様の創出のために、明治時代中期から後期にかけて図案の懸賞公募が盛んに行われていました。多彩なテーマに基づいたあらゆる図案が考案され、モチーフも表現様式も百花繚乱の様相を示し、華やかな流行が次々に生み出されます。第3章では図案から友禅裂地へと変換された具体例が紹介されています。

画像: 神坂雪佳《草花図》20世紀初頭 株式会社千總ホールディングス蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

神坂雪佳《草花図》20世紀初頭 株式会社千總ホールディングス蔵
「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影
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神坂雪佳(かみさかせっか)(1866-1942)の絵画作品に基づいた反物の意匠は、もとの絵をトリミングしながら連続模様になるよう調整されています。

画像: 神坂雪佳 原画《友禅染裂 琳派百花》1935年 株式会社千總ホールディングス蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

神坂雪佳 原画《友禅染裂 琳派百花》1935年 株式会社千總ホールディングス蔵
「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影
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画像: 神坂雪佳 原画《きもの シルエット琳派百花ブルー》2015年 株式会社千總ホールディングス蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

神坂雪佳 原画《きもの シルエット琳派百花ブルー》2015年 株式会社千總ホールディングス蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影
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画像1: 展覧会風景「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影photo by © cinefil

展覧会風景「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影photo by © cinefil

画像2: 展覧会風景「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影photo by © cinefil

展覧会風景「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影photo by ©
cinefil

京セラドキュメントソリューションズ株式会社が、本展に協賛し、環境にやさしいサステナブルな捺染インクジェットプリンター「FOREARTH(フォレアス)」を用いて、展示作品の友禅染の文様をプリントし、会場を彩る装飾を提供しています。                       今回の装飾プリントでは、京セラ独自開発の捺染システムと水系顔料インクにより、生地本来の柔らかく自然な風合いがそのまま生かされているそうです。伝統の美しさが、最新技術により繊細に表現されています。

画像3: 展覧会風景「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影photo by © cinefil

展覧会風景「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影photo by ©
cinefil

画像: 展覧会風景「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館内覧会にて撮影 photo by © cinefil

展覧会風景「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館内覧会にて撮影
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第4章 平面と立体のあいだで 京都の友禅の人間国宝

第4章では、第1章から第3章を受けて、人間国宝の作家の作品とその資料で構成されています。時代が変遷する中、伝統に立脚しつつ新しい表現を求めてやまない「きもの」の現代の名品が紹介されています。華やかで艶やかな「きもの」をご堪能ください。

画像4: 展覧会風景「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影photo by © cinefil

展覧会風景「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影photo by © cinefil

画像: 森口華弘《友禅訪問着「彩華」》1985年 京都国立近代美術館蔵 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

森口華弘《友禅訪問着「彩華」》1985年 京都国立近代美術館蔵
「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影
photo by © cinefil

片身替(かたみがわり)は、焼き物や、能装束にもみられる伝統的な意匠です。これを取り入れた大胆な斜めの構成は、ピンク色の地に可憐な白梅が、白色の地に華やかなピンクの紅梅が映え、艶やかさをいっそう引き立てています。友禅染で人間国宝に認定された森口華弘の作品です。

日本が育んだ美しい伝統文化「きもの」の生まれたデザインの背景を知り、多彩なモチーフと意匠が奏でる優美で華やかな「きもの」の世界に、こころ癒され、眼福のひと時をお過ごしください。

(掲載している画像の作品の一部は展示替えが行われます)

画像: 京都国立近代美術館4階からの風景 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

京都国立近代美術館4階からの風景 「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館 内覧会にて撮影 photo by © cinefil

展覧会概要

展覧会名:きもののヒミツ  友禅のうまれるところ
SECRETS OF THE KIMONO The Advent of Yuzen Dyeing
会 期:2025年7月19日(土)-9月15日(月・祝)
*前期(7月19日-8月17日)、後期(8月19日-9月15日)で展示替えを行います。
会 場:京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)
休 館 日:月曜日(ただし8月11日、9月15日は開館)、8月12日(火)
料金等詳細は下記展覧会公式サイトに触れて頂きますとご覧いただけます。
展覧会公式サイト   https://www.yomiuri-osaka.com/lp/kimono/

覧会公式X @KIMONOsecrets
展覧会公式インスタグラム kimono_secrets

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「きもののヒミツ 友禅のうまれるところ」京都国立近代美術館@シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上2組4名様に、無料観覧券をお送り致します。この観覧券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2025年7月28日 月曜日 24:00
記載内容
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