オカッパ頭に丸メガネ、奇抜なモードファッションのフジタ。その個性的なルックスのみならず、日系画家としてフランスで活躍した藤田嗣治(ふじた つぐはる)(1886-1968)は、「素晴らしき乳白色の下地」と称賛された裸婦像などの絵画で、エコール・ド・パリの寵児となり、フランスでの名声を確立しました。
日本でもフジタの自画像はアイコンとなっていて、可愛らしい猫や、女性を描いた作品は人気を博しています。
そんなフジタの芸術を「写真」をキーワードに再考する展覧会が東京ステーションギャラリーにて2025年8月31日まで開催中です。
本展は画家と写真の関係を、「1絵画と写真につくられた画家」、「2写真がつくる絵画」、「3画家がつくる写真」の3つの視点から紐解いていく展覧会となっています。
「描くこと」、そして「撮ること」。ふたつの行為を行き来したフジタの「眼の軌跡」を追いかけ、これまでにない角度から藤田嗣治の魅力が紹介されています。
それでは、本展の見どころといくつかの作品を紹介していきましょう。
絵画と写真でセルフブランディング 画家フジタのメディア戦略
オカッパ頭に丸メガネ、口元の髭と大胆なファッション、そして傍らには猫、といったフジタのお馴染みのいでたちは、絵画と写真によって、繰り返し再生産されてきました。アイコニックなキャラクターを世に知らしめた自画像とポートレート写真が一挙に展示されています。

ドラ・カルムス《猫を肩にのせる藤田嗣治》1927年 東京藝術大学所蔵
「私としても私程又肖像を写された人も多くあるまいと思ふ程カメラを向けられた。」
―藤田嗣治(「 私のカメラ」『明朗』第1巻 第4号p.190)
最もよく知られているフジタのポートレート。猫のいる自画像と合わせて猫好きを印象づけるものとなりました。

ドラ・カルムス《藤田》1925-29年頃 東京藝術大学所蔵
パリのモード感漂う派手な装いでポーズをとる、パリで人気を博していた頃のフジタ。
過去最大級! フジタが撮影した珠玉の写真が一堂に
日本とフランスに遺された数千枚の写真資料の中から、フジタが撮影した優品が厳選して紹介されています。愛機・ライカを手にしたフジタは、ひとりのアマチュア写真家として、好奇心の赴くままにシャッターを切りました。

藤田嗣治《市街 バスの前の人々》1955年 東京藝術大学所蔵
1930年代に世界を旅する中で撮られたモノクロ写真と、1950年代のヨーロッパを撮った彩り豊かなカラー写真。いずれも観る者の心を惹きつける必見のスナップショットです。本展はそんなフジタの写真が過去最大級のボリュームで展示されている魅力溢れる展覧会です。

藤田嗣治《子供2人》1955年 東京藝術大学所蔵
原色のまま写す方が、新しい感覚の画ができると思います。丁度近代絵画のように。
―藤田嗣治(自作解説『アサヒカメラ』第41巻 第3号)
徹底比較、絵画と写真 傑作に隠された秘密に迫る
鉛筆や木炭をカメラに替えて、フジタは絵画の素材として写真を活用していました。一期一会の出会いを逃さないように、フジタは旅先のあらゆる景色や人々にレンズを向け、その姿を記録しています。そして、メモのごとく無造作に撮られた写真の一部 人の相貌、衣服の模様、建築、動物などを切り出しては、キャンバスの上に構成していきました。
見事な写真を手がける一方で、フジタは画家として、こうした実用的な写真の使い方も実践していたのです。本展では、代表作とその素材となった写真が併せて展示されています。絵画それ自体を味わうのは勿論、写真と比較した分析も愉しんでいただけます。

2階展示室 ©Wakabayashi Hayato
フジタの写真が過去最大級のボリュームで 展示されています。是非この機会に、東京ステーションギャラリーの赤レンガの壁を背景に、プロの写真家をも唸らせたフジタの写真をご堪能ください。
展覧会概要
展覧会名:藤田嗣治 絵画と写真
会期:2025年7月5日~ 8月31日
会場:東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1
電話番号:03-3212-2485
開館時間:10:00~18:00(金~20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(7月21日、8月11日、8月25日は開館)、7月22日、8月12日
料金:一般 1500円 / 大学・高校生 1300円 / 中学生以下無料 / 障がい者手帳等持参の方 入館料から200円引き(介添者1名は無料)
詳細は下記に触れて頂き、展覧会公式サイトをご覧ください。
シネフィルチケットプレゼント
下記の必要事項、をご記入の上藤田嗣治 絵画と写真@東京ステーションギャラリー シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に無料鑑賞券をお送り致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2025年7月21日 月曜日 24:00
記載内容
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