絶賛公開中の『雨ニモマケズ』ご出演の山中アラタさんと南條みずほさんの対談をお届けいたします。
役柄では、マネージャーと歌手役で登場するお二人、どんなお話になるのか、お楽しみに。
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youtu.be山中「元気にしてましたか」
南條「はい。山中さんとは久しぶり・・・?映画を撮影してその後、映画の舞台挨拶で一度ご一緒して・・・」
山中「そうですね。撮影が一昨年の10月、その後劇場公開をして舞台挨拶でご一緒してからなので。まあ長く上映続いていますよね」
南條「有難いです」

山中「ちなみに、南條さんはどのような経緯でこの作品にご出演されたのですか」
南條「話すとちょっと長くなるのですが・・・横浜にFRIDAYという40年以上続く老舗のライブハウスがありまして、飯塚監督がこのライブハウスのドキュメンタリー映画を製作するきっかけで、私の父と知り合ったようなんです。父は、南條倖司というソウルミュージシャンなんです。その後、FRIDAYのマスターを通じてお声掛けいただき、飯塚監督の初監督作品『MOON andGOLDFISH』に出演させていただいたんです」
山中「最初はお父さんきっかけ」
南條「そうなんです。『MOON and GOLDFISH』は路上で歌うミュージシャン役だったのですが、その時に父の残した歌『大感謝』と私のオリジナル『来世猫になるために』を監督にお聴かせしたところ、“『大感謝』は大切にしたい歌なので企画段階から映画に組み込んで次の映画でお借りしたい”と監督に言われて」
山中「で、今回の?」
南條「そうなんです。今回の『雨ニモマケズ』のステージシーンで歌わせていただくことになりました」
山中「3年越しくらいの約束が叶ったんですね」
南條「はい。ちなみに山中さんはどのような感じで本作に関わることになったのですか」
山中「僕は、飯塚監督がプロデュースした映画『世界を変えなかった不確かな罪』という映画で知り合って前作の『MOON and GOLDFISH』の試写を観たときに“今度映画撮るときは声かけてくださいよ”って言ったんです。その後、映画が動き出しそうな感じだったんですけど“山中さんにご出演いただけるほど僕の映画は大したものじゃないので・・・”なんて言われていて(笑)体のいい断りかな、なんて思ってたんですけど」
南條「(笑)」
山中「その後、監督から連絡いただいて低姿勢で”出ていただけませんか“なんて(笑)、オファーいただき今回の出演になったんです」
南條「へえ・・・」

山中「『雨ニモマケズ』では南條さんの役、ユイはみんなの台詞には出てくるんだけど、実際はどんなキャラクターなんだろうって登場するまではわからないじゃないですか」
南條「そうなんです。最初、登場するときもみなさんの作り上げてくださった、ユイというイメージを壊さないように心がけました」
山中「本読みや衣装合わせでもみなと距離とった感じでしたよね」
南條「そうでした?」
山中「撮影終わって、試写会の打ち上げでは(笑)」
南條「結構、はっちゃけてました(笑)」

映画『雨ニモマケズ』(飯塚冬酒 監督)より
山中「現場で僕はユイを特別な存在にみせるように演技を考えていました」
南條「それは感じました」
山中「ただ怖いだけのマネージャーじゃなくて根底に所属タレントへの愛があるような」
南條「それに応えられるように自分も考えていました。ユイ自身はマネージャーに信頼はあるんだろうな・・・と」
山中「その辺りは事前にディスカッションしなくても伝わって演技できたような気がします」
南條「そうですね、ものすごく話あうことなくても意思が疎通できたというか」
山中「決して準備不足、ということではなくて、今回は撮影の方法も特殊なので、ある程度の緊張感を持っての現場がいいのかな、なんて僕は思っていました」
南條「緊張感と言えば、冒頭のワンカット・・・」
山中「しびれましたよね」
南條「山中さん、長回しは?」
山中「あります。アクションなどでも長回しをやったこともありますし」
南條「私は初めてだったのですが、全部山中さんにゆだねることができて。役柄的に受けの演技だったので」
山中「そうですよね」
南條「私の役のユイは自信がなくて自分の意思をはっきりと表に出すことはできない女性なんですけど、恩師のメモリアルパーティに参加するなかで変化する想いと不安な想いのバランスを意識して演じていました」
山中「ゴスペルにルーツを持つユイがポップスでもゴスペルでもなく自分の歌を歌う、というところが彼女の選択、『歌の本質』なのかな、と思いました」
南條「1,700人のホールで、本当に客席に観客が入った状態で歌を歌う、なんて経験ないですからね。ステージシーンも緊張しました」

山中「僕は撮影の前にゴスペルのイベントにお邪魔したことがあるんです。その時に感じたのが歌う・聴くという関係ではなく、歌う人も観客もその場を共有して楽しむ、という感じがしたんですね。今回の撮影は観客エキストラもステージも一緒になりながらの撮影だったような気がします」
南條「あと、飯塚監督は関わった人を大切にしますよね」
山中「それは感じる。今回現場で20名、東ちづるさんや子役含め22名、どの役者さんに対しても平等に、端役としての扱いじゃなく主役関係なく平等に考えていてくれている。
役者ってそんなところ敏感だから。今回参加した役者さんはみんな、次回、飯塚監督が作品撮るときに参加したがるんじゃないですかね」
南條「私もぜひ参加したいです」
山中「最後に映画の宣伝もしておきましょうか」
南條「この映画は観る人を元気にする映画だと思います。生きている苦しさも感じながら人々の生き方と音楽がリンクしているところも好きです」
山中「一日のイベントに集まった人々の人生が描かれた映画かな、ゴスペル音楽というと観る人を固定しそうだけど、それに引っ張られずにみんなが楽しんで観ることのできる映画かな、と思います。上映もまだ続いているようですし、ぜひご覧いただければ嬉しいです」
雨ニモマケズ|監督:飯塚冬酒|90分|2024年|5.1ch|日本|
新宿K's cinema / ユーロスペース / アップリンク京都 / 別府ブルーバード / 大須シネマ / 横浜シネマ・ジャック&ベティ / シネ・ヌーヴォ / 元町映画館 / 宇都宮ヒカリ座 他順次上映
https://g-film.net/ame/
カメラ:塩出太志 / ヘアメイク:成美