このたび、浄土宗開宗850年を記念し、特別展「法然と極楽浄土」が2024年10月8日から12月1日まで京都国立博物館にて開催されます。
「南無阿弥陀仏」と念仏を称えることにより、苦しむ人々は誰もが等しく救われる、と説いた法然上人のありがたい教えは、いにしえより、今日まで、貴族から庶民に至るまで多くの人々に支持され、連綿と受け継がれています。
平安時代末期、繰り返される内乱や災害・疫病の頻発によって世は乱れ、人々は疲弊していました。比叡山で学び、中国唐代の阿弥陀仏信仰者である善導ぜんどう(613~681)の教えに接した法然(法然房源空 ほうねんぼうげんくう、1133~1212)は、承安5年(1175)、阿弥陀仏の名号を称えることによって誰もが等しく阿弥陀仏に救われ、極楽浄土に往生することを説き、浄土宗を開きました。
本展では、法然による浄土宗の立教開宗から、弟子たちによる諸派の創設と教義の確立、徳川将軍家の帰依(きえ)によって大きく発展を遂げるまでの、浄土宗850年におよぶ歴史を、全国の浄土宗諸寺院等が所蔵する国宝、重要文化財を含む貴重な名宝により辿ります。
国宝「綴織當麻曼陀羅(つづれおりたいままんだら)」国宝「阿弥陀二十五菩薩来迎図(あみだにじゅうごぼさつらいごうず)早来迎(はやらいごう)」をはじめとする浄土教美術の名品や、「仏涅槃(ぶつねはん)群像」などスケールの大きな優品など、浄土宗ゆかりの多彩な文化財をご堪能ください。
※本展は、東京国立博物館で好評を博し会期は終了、京都国立博物館 (2024年10月8日~12月1日)、九州国立博物館(2025年10月7日~11月30日) で開催されます。
法然がその生涯の多くを過ごし、本山など関連寺院が集中する京都では、巡回3会場中、最多の出品数となっています。
第1章 法然とその時代
相次ぐ戦乱、頻発する天災や疫病、逃れられない貧困など、平安時代末期の人々は苦悩に満ちた「末法(まっぽう)」の世に生きていました。この時代に生を享けた法然は、比叡山で天台僧としての修行を積みますが、43歳の承安5年(1175)、唐の善導の著作によって専修念仏の道を選びました。
鎌倉時代に造られた数少ない法然の彫像。頭の頂が平らで角張った形が肖像画からうかがえる法然の特徴ですが、この像の頭部は丸く、年齢は数ある画像より若い壮年期に見えます。
建久9年(1198)九条兼実の要請によって法然が撰述したとされる。念仏こそが末法の世にふさわしい行であることを体系的に述べた日本仏教史上重要な文献。本書は冒頭に法然の自筆が含まれるといわれています。
「法然上人絵伝」は、法然の生涯や教説を中心に帰依者や門徒の事跡をも収録した四十八巻二百三十五段に及ぶ絵巻物。
勢至丸(のちの法然)は父亡き後、叔父の勧めで比叡山に入ることになりました。故郷を離れる子との別れを悲しむ母の姿も描かれています。
法然は建暦二年(1212)に往生しました。藤原兼隆が何年も前に見た夢で、冊子に起こされた法然の往生の様子を読みましたが、実際の経緯がこれに符合しました。
第2章 阿弥陀仏の世界
法然は、本尊である阿弥陀如来の名号をひたすらに称える称名念仏をなにより重んじました。門弟や帰依者らは阿弥陀の彫像や来迎する様を描いた絵画を拝し、日ごろ念仏を称え、あるいは臨終を迎える際の心の拠りどころとしたのです。多くの人々の願いが込められた阿弥陀の造形の数々は、困難の多い時代、庶民にまで広がった浄土宗の信仰の高まりを今に伝えています。
来迎図とは、仏や菩薩が死者を迎えに来る様子を描いた仏画。お迎えに来てくれる仏や菩薩のランクは、生前の行いによって9つの段階があります。
本作は、対角線の構図で描かれ、スピード感が強調され、「早来迎」と称され、極楽往生の中でも、最高位にあたる「上品上生」の来迎が表されています。
桜咲く春の情景の中に白い雲に乗った黄金の仏達が描かれています。
阿弥陀如来が西方極楽浄土から山越しに姿を現した様子です。
法然の一周忌のために弟子の源智が発願し、数万人の結縁を募って造立しました。来迎印を
結び、人びとを極楽浄土に導きます。
第3章 法然の弟子たちと法脈
法然のもとには彼を慕う門弟が集い、浄土宗が開かれました。法然没後、彼らは称名念仏の
教えを広めようと、それぞれ精力的に活動をおこないます。
古代の浄土教の聖地、奈良の當麻寺の本尊。『観無量寿経』に説かれる極楽浄土のようすが織り出されています。綴織りで作られた4メートル四方の巨大な曼荼羅です。
『綴織當麻曼陀羅』には伝説があります。継母に命を狙われながらもなんとか生き延びた中将姫は、當麻寺で出家しました。極楽浄土を願う奈良時代の中将姫のもとに阿弥陀如来の化身が現れ、蓮糸を集めて織ることを勧められます。中将姫は一夜にして當麻曼陀羅を織りあげ、13年後に極楽往生を遂げたということです。
枕元に来迎図や、来迎像を置いて礼拝し、極楽浄土を願う人が多くいました。
阿弥陀三尊来迎の彫像を納めた、高さ15センチに満たない厨子は、優美な蒔絵や彫金などの飾金具が施された精緻な銀製光背などから、貴人の念持仏であったと想像されます。
第4章 徳川時代の浄土宗
聖冏が常陸国で関東浄土宗の礎を築き、聖聡が江戸に増上寺を開くと、その弟子たちは体系化された浄土宗の教義を全国へ普及していきました。本章では、将軍家や諸大名の外護(げご)を得て飛躍的に興隆した江戸時代の浄土宗の様子を辿り、篤い信仰を背景に浄土宗寺院にもたらされ、現代に伝えられた、多彩でスケールの大きな宝物が紹介されています。
『五百羅漢図』は、幕末の絵師狩野一信が晩年の約十年をかけて完成させ、増上寺に奉納した大作で、羅漢たちがダイナミックに描かれています。本作では針山地獄で苦しむ在任が、羅漢が垂らす糸にすがって救われる場面が描かれています。
香川・法然寺の三仏堂(涅槃堂)にある、壮大なスケールで立体化された等身大を上回る釈迦の涅槃像と、それを取り囲んで嘆く羅漢、天龍八部衆、動物たち。その造像は高松藩初代藩主松平頼重(1622~95)が京都の仏師を招いて造営したもので、唯一無二。
本展では、涅槃像と群像の一部が展示されます。
人々は皆、貴賤の隔て無く、念仏を称えることによって極楽浄土で往生できる、と説いた法然の寛容な心、慈愛に満ちた精神には本当に感動します。
当時の人々の心のよりどころとなっただけでなく、現代に生きる私たちの救いにもなればと思います。
展覧会概要
展覧会名:特別展「法然と極楽浄土」
会 場:京都国立博物館 平成知新館
会 場:2024 年 10月8日(火)~12月1日(日)
[前期展示] 10月8日(火)~11月4日(月・休)
[後期展示] 11月6日(水)~12月1日(日)
※会期中、一部の作品は上記以外にも展示替を行います。
開館時間:午前9時~午後5時30分
*金曜日は午後8時まで開館 *入館は各閉館30分前まで
休館日:月曜日
※ただし、10月14日(月・祝)、11月4日(月・休)は開館し、10月15日(火)、11月5日(火)休館)
お問合せ:075-525-2473 (テレホンサービス)
展覧会公式サイト
展覧会公式 X・Instagram : @honen2024_25
巡回情報:[九州会場]2025年10月7日(火)~ 11月30日(日)
シネフィルチケットプレゼント
下記の必要事項、をご記入の上、「特別展「法然と極楽浄土」」@京都国立博物館シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上3組6名様に、無料観覧券をお送り致します。この観覧券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2024年10月7日 月曜日 24:00
記載内容
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