「花鳥画」は自然の風景の中に、花や鳥を主な題材として描き、伝統的な日本の美を表現した画題です。画家たちは、いにしえより、美しいものを絵画で表現しようと試み、「花鳥画」を描いてきました。四季の花々と鳥たちの組み合わせは、まさに、「花鳥風月」、「雪月花」という日本の理想的な美しい世界です。
京都・嵐山の渡月橋を望む大堰川の美しい景観を近くで堪能できる美術館・嵯峨嵐山文華館では、「嵯峨嵐山かちょうえん」が10月1日まで開催されています。
本展は、まるで自然の中のような屋内で、放たれた鳥と自由に触れ合うことができる「花鳥園」と「美術館」の融合を目指した展覧会となっています。
江戸時代から明治時代にかけて活躍した円山応挙、今尾景年、大橋翠石、橋本関雪など錚々たる画家たちが描く、様々な鳥や美しい植物が紹介されています。鳳凰などの絵画でしか見ることができない想像上の鳥も必見です。
また、絵画を見ながらQRコードを読み取って頂きますと、その鳥の鳴き声も聞くことができます。作品解説のキャプションにより、鳥の生態、花の意味などを楽しく学んで頂ける展覧会となっています。是非、この機会に嵯峨嵐山文華館の「嵯峨嵐山かちょうえん」を訪れてみてください。
第1章水辺を好む鳥たち
第1章は水辺に生息する鳥たちや植物を中心にご紹介するコーナーです。
川辺に棲むマガモ、コサギをはじめ、嵐山の風物詩となっているウ、夏にしか見ることのできないカモのヒナ、山間地の小川で見られるキセキレイなど、多種多様な鳥たちの絵が展示されています。
美術館の前には大堰川が流れていて、春には桜、秋には紅葉と季節ごとに様々な景色を見せる渡月橋を背景に多くの鳥たちを観察することができます。
四季折々の美しい植物、薔薇、ボタン、菊などが華やかに描かれ、ウソという名前の口笛のような鳴き声が特徴の赤い鳥、貝やカマキリなど細やかに写し撮られています。
今尾景年(1845-1924)は、四条派の日本画家で、色彩豊かな花鳥画を得意とし、明治から大正にかけて活躍しました。
冬と夏の花鳥が煌びやかな金を散らした屏風の中に同時に描かれ、現実では見られない季節を超越した理想郷のように描かれています。
右隻には冬鳥のマナヅル、タンチョウ、トモエガモ、左隻には、冬鳥のヨシガモ、オシドリ、マガモ、キンクロハジロ、そして夏鳥のホトトギスが描かれています。
右 冬に真っ赤な実を付けるナンテンが真っ白な雪の中に描かれ、厳しい寒さを感じさせます。その傍らには、冬鳥であるマガモの番(つがい)の姿があります。
左 白いガチョウと2羽の小禽が描かれています。「禽(りん)」とは鳥全般を指す言葉です。ガチョウの足元にはナデシコ、上部にはトロロアオイが咲き、初秋の澄んだ空気感が感じられます。
円山応挙は江戸時代に活躍した絵師で円山派の開祖。常に懐中に写生帖を忍ばせ、写生を重視していました。伊藤若冲と並ぶほど優れた絵師のひとりです。
右 合歓(ねむ)の花は6月中旬から7月下旬に咲く夏の花で、化粧用の刷毛(はけ)のようですが、葉の緑色とともに爽やかな印象です。水辺の双鷺も真っ白で涼しげな感じです。
左 ゴイサギは胸が白く、頭から背にかけては紺色をしていますが、幼鳥の場合は本作のように、全体的に褐色で、白い斑点があります。醍醐天皇から、五位の位階を授かったという「平家物語」の話に基づいて名付けられました。
大橋翠石(1865-1945)は、虎の絵を得意とし、1900年のパリ万国博覧会で、日本人画家としてただ一人金メダルを受賞し、国内外で高い評価を得ました。
猛獣を得意とした翠石ですが、意外にもこんなに繊細で美しい花を鮮やかな色彩で描いていたのです。
第2章小禽、猛禽、瑞鳥まで!?
第2章では四季折々に咲く花の絵と共に、キンケイやオウムといった外来種から、ハト、スズメ、シジュウカラなど市街地でも目にすることができる留鳥、タカやワシなどの鋭い目つきが印象的な猛禽類などが紹介されています。
また畳ギャラリーでは、絵画などでしか見ることができない想像上の鳥・鳳凰も展示しています。
春夏秋冬の美しい花々と珍しい外来種や渡り鳥が取り合わされた革新的な作品。
淡いピンクの華やかな牡丹に、長い尾羽に赤いくちばしが特徴的なサンジャク。清楚な白百合に、色彩豊かで、頭頂に金色の冠毛があるキンケイ。秋の風情ある萩の花に、北方からやってくるガン。日本の伝統的な菊に冬鳥のマガモ。四季揃っての展示で、それぞれの風情が感じられます。
左 梅の樹々に鳥が集い、さえずる様子は春を感じさせる美しい情景です。
右 竹や菊の自然の植物の美しさだけでなく、傍らに猫が描かれ、ほっとする日常の風景となっているようです。
桃太郎に出てくる雉子(きじ)は日本の固有種で、日本の国鳥です。「万葉集」にも登場するなど古くから親しまれてきました。雄は赤、紺、深緑など華やかな羽の色を持ち、雌は黄褐色です。
明治から昭和にかけて活躍した四条派・望月玉渓の作品である《鳳凰図屏風》では、吉兆の知らせと言われる鳳凰の尾に、ハートの形をした日本の伝統模様である猪目が左隻と右隻に色違いで描かれています。
贅沢な二階展示室120畳の空間でゆったりと心癒され、華やかな花鳥画の数々をご堪能頂き、至福のひとときをお過ごしください。
※館内イベントもございます。美術館公式サイトをご覧ください。
嵯峨嵐山文華館公式サイト https://www.samac.jp/
※福田美術館で開催の「福田どうぶつえん」と共通のチケットもございます。
美術品を鑑賞しながら、感想をお話したり、小さなお子様連れでも気兼ねなく鑑賞していただけるように、どちらの美術館も火曜日は特別におしゃべりもOK!の日となっています。
展覧会概要
企画展名 嵯峨嵐山かちょうえん
会期 2024年7月13日(土)〜10月1日(火)
前期:7月13日(土)〜8月26日(月)
後期:8月28日(水)〜10月1日(火)
開館時間 10:00〜17:00(最終入館16:30)
休館 8月27日(火)、9月10日(火)、9月26日(木)
料金 一般・大学生:1,000(900)円 高校生:600(500)円
小・中学生その他:400(350)円
*障がい者と介添人1名まで各600(500)円
*幼児無料
*( )内は20名以上の団体料金
<福田美術館両館共通券>
一般・大学生:2,300円/高校生:1,300円/小中学生: 750円/障がい者と介添人1名まで:各1,300円
嵯峨嵐山文華館公式サイト
シネフィルチケットプレゼント
下記の必要事項、をご記入の上、「嵯峨嵐山かちょうえん」@京都 嵯峨嵐山文華館シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、無料観覧券をお送り致します。この観覧券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2024年8月26日 月曜日 24:00
記載内容
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