美しい色彩でファンタジーに溢れる幻想的な世界を描き出したフォロン
戦争や環境問題など社会に掲げる彼の静かな抗議がここに！
空想旅行案内人 ジャン＝ミッシェル・フォロン　東京ステーションギャラリーにて開催

透明感のある美しい色彩で幻想的な世界を描いたジャン＝ミッシェル・フォロン（Jean-Michel Folon, 1934-2005）の芸術は、ファンタジーに溢れ、まるでおとぎの国の絵本のようで、サン=テグジュペリ作の物語「星の王子さま」を彷彿させます。

このたび東京ステーションギャラリーにおいて、日本では30年ぶりとなるフォロンの大回顧展「空想旅行案内人 ジャン＝ミッシェル・フォロン」が開催されます。

フォロンは、20世紀後半のベルギーを代表するアーティストのひとりです。
若き日に出会った同じベルギー出身のシュルレアリスムの画家・マグリットの壁画に感銘を受け、絵画の世界に惹きつけられました。1955年に移住したパリ近郊でドローイングを描く日々を送り、なかなか芽が出ませんでしたが、アメリカの『ザ・ニューヨーカー』『タイム』などの有力誌で注目され、1960年代初頭にはそれらの表紙を飾り、一躍、脚光を浴びました。その後、イタリアのオリベッティ社のグラフィックデザインを任されたり、ミラノ・トリエンナーレ（1968年）のフランス館で壁画を依頼されたりと、世界中で高い評価を得て活躍しました。

一見、色彩豊かで、詩情豊かなフォロンの描く世界は、爽やかで美しい情景ですが、ここには環境破壊や人権問題など厳しい現実への抗議が隠されているのです。そして同時に、孤独や不安の感情も漂っています。

本展では初期のドローイングから水彩画、版画、ポスター、そして晩年の立体作品まで約230点が紹介されています。
社会問題に取り組み、静かな抗議を続けてきたフォロンの芸術を是非、ご覧頂き、彼のメッセージを受け取ってください。

プロローグ　旅のはじまり

本展のタイトルは、フォロンが制作し実際に使っていた名刺“FOLON: AGENCE DE VOYAGE IMAGINAIRE（フォロン：空想旅行エージェンシー）”が着想源となっています。
本章では、フォロンの芸術世界を旅するための入口として、フォロンが繰り返し描いた変化する日常の事物や人間をモチーフとするドローイングや彫刻作品、日常に潜むユーモラスな風景を切り取った写真などから、フォロンの思考が紹介されています。

第１章　あっち・こっち・どっち？

フォロンは矢印にとりつかれていました。町中で矢印を見かけると写真に撮り、作品にも至るところに矢印が描かれます。ところがその矢印ときたら、いったいどこを指しているのやら。矢印に従って進むと、かえって迷宮に入り込んでしまうようです。

第2章　なにが聴こえる？

「耳を澄ませば、世界が動いている音が聴こえてきます。」そう語るフォロンの耳に届いていたのは、どのような音だったのでしょうか。水彩のやわらかな色使いと、自在なドローイングのタッチに反して、描き出された世界はあまり穏やかではありません。フォロンが作品に込めた静かな抗議のメッセージに耳を澄ませてください。

フォロンの作品は親しみやすく、爽やかでユーモアに溢れていますが、優しい微笑みの裏には、静かな怒りや厳しい現実が隠されているかもしれません。環境問題などに対する画家の抗議が暗示されています。

第3章　なにを話そう？

見る人が絵と対話することを望んでいたフォロン。人々に世界の「いま」を語りかける手段として、フォロンは企業や公共団体などの依頼で手がけた600 以上ものポスターを、絵画作品と同じくらい大切にしていました。
本章ではそうしたポスターや、アムネスティ・インターナショナルの依頼をうけて制作した『世界人権宣言』の挿絵原画などから、優れたコミュニケーターとしてのフォロンの魅力が紹介されています。

エピローグ　つぎはどこへ行こう？

「私はいつも空を自由に飛んで、風や空と話してみたいと思っているのです」と語っていたフォロンは、かろやかに世界を飛び回り、旅先での新しい体験や出会いを大切な創作のエネルギーにしていました。この世界の厳しい現実を静かに告発しつつも、同時にその美しさを表そうとしたフォロン。
本展の最後は、彼が愛してやまなかった海と水平線を描いた水彩画や、旅先でのスケッチブック、メール・アートなどで幕を閉じます。

フォロンの作品の大きな魅力は、その美しい色彩にあります。フォロンは「色彩の魔術師」とも呼ばれていました。
ですが、1 点の作品に使われる色数は決して多くはありません。限られた色彩を巧みに組み合わせ、グラデーションや滲みなどを駆使することで、奇跡のような美しい世界が創造されるのです。

フォロンの作品にしばしば登場するリトル・ハット・マン。今回の空想旅行の同伴者でもある彼はいったい何者なのでしょうか。フォロン自身は「私に似たある誰か」であると同時に「誰でもない」と言っています。

デジタル化が進み、都市部における産業や経済は発展を遂げたものの、コロナなどによるパンデミックに悩まされ、ロシアとウクライナの戦争など、社会的に大きな不安のある現代。環境や自由への高い意識をもち、抑圧や暴力、差別などに静かな抗議を続けてきたフォロンの芸術は、いま、あらためて大きな意義を持っています。
フォロンの美しい絵に心癒され、空想旅行をお愉しみください。そして、その奥にある彼のメッセージを読み取ってください。

展覧会概要

展覧会名 空想旅行案内人 ジャン＝ミッシェル・フォロン
会期　2024年7月13日(土)〜2024年9月23日(月・振)
会場　東京ステーションギャラリー
住所　100-0005 東京都千代田区丸の内1-9-1（JR東京駅 丸の内北口 改札前）
時間　10:00～18:00（金曜日～20:00）＊入館は閉館30分前まで
休館日　月曜日（ただし7月15日、8月12日、9月16日、9月23日は開館）、
7月16日(火)
入館料 一般1,500（1,300）円／高校・大学生1,300（1,100）円／中学生以下無料
＊（　）内は前売料金［6/1～7/12オンラインチケットで販売］
＊障がい者手帳等持参の方は200円引き（介添者1名は無料）
＊チケット販売＝【前売券・当日券】オンラインチケット www.e-tix.jp/ejrcf_gallery/
【当日券】当館1階入口
TEL　03-3212-2485
URL【東京ステーションギャラリー｜公式サイト】https://www.ejrcf.or.jp/gallery/　

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「空想旅行案内人 ジャン＝ミッシェル・フォロン」＠東京ステーションギャラリー シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、無料観覧券をお送り致します。この観覧券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス　miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2024年8月5日 月曜日　24：00
記載内容
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