新紙幣採用記念

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The Impact of Hokusai's
Great Wave
Under the Wave off Kanagawa-Tracing Its Origins and Trajectory
特別展 北斎グレートウェーブ・インパクト
ー神奈川沖浪裏の誕生と軌跡ー

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画像: (「葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」(部分) すみだ北斎美術館蔵(通期※半期で同タイトルの展示替えをします。))

(「葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」(部分) すみだ北斎美術館蔵(通期※半期で同タイトルの展示替えをします。))

2024年7月3日、20年ぶりに新紙幣が発行されます。

そのうちの千円札の裏面に北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」が図柄として採用されます。

本展では、この新紙幣採用を記念して「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」がどのような背景で誕生したかをひもときます。

またその図柄のさまざまに利用されてきた軌跡をたどり、海外で「グレートウェーブ」の通称で親しまれるこの絵「神奈川沖浪裏」の影響とその後の広がりを紹介します。

画像: (「すみだ北斎美術館」からはスタイツリーが望め、公園ではジャングルジムで子どもたちが遊んでいます。」)

(「すみだ北斎美術館」からはスタイツリーが望め、公園ではジャングルジムで子どもたちが遊んでいます。」)

すみだ北斎美術館(墨田区亀沢)は、浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)が生まれ、生涯のほとんどを過ごしたこのゆかりの地に、2016年に開館しました。

開館以来、展覧会事業や教育普及事業を通して、北斎の生涯や作品を発信しています。

葛飾北斎は、江戸後期の浮世絵師でした。江戸は本所に生まれ、浅草で亡くなっています。

画像: (「開会に当たり挨拶するすみだ美術館館長」)

(「開会に当たり挨拶するすみだ美術館館長」)

若き北斎は、勝川春章に入門後、役者絵や戯作の挿絵を描き、狩野派まで学ぼうとしていました。

その後、名前をいくつも変えましたが、琳派、土佐派、洋風画などの諸派の描法を摂取。

寛政期になると、美人画の摺物や狂歌本の挿絵に関わる一方で、陰影法による洋風風景画の新基軸を打ち出した浮世絵師です。

【プロローグ 新しいお札になったグレートウェーブ】

さて、私たちにとって、身近なお札である一万円券、五千円券、千円券が、2004年11月以来、20年ぶりに一新されます。そのうち千円券の裏面には、葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」が採用されるのです。

財務省によれば、日本を代表し日本人にも馴染みの深い富士山をモチーフとしていること、江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の代表作として知名度も高く、世界の芸術家に影響を与えた作品であることが、採用の理由とされています。

プロローグでは、本展覧会のメインテーマである「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」と新紙幣の千円券について紹介します。

画像: (葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」 天保2年頃 すみだ北斎美術館蔵(通期)※半期で同タイトルの作品に展示替えをします。)

(葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」 天保2年頃 すみだ北斎美術館蔵(通期)※半期で同タイトルの作品に展示替えをします。)

その後の北斎ですが、文化年間(1804-18)になると、北斎は、多くの読本挿絵を手がけ、その後絵手本にも力を注ぐようになりました。

これが『北斎漫画』といわれる一連の作品群です。

【第1章:江戸の西洋ブーム―海外へのあこがれ】

江戸時代は、国を閉ざした「鎖国」のイメージが強いのですが、実際は長崎などを窓口として、西洋や中国との交流があり、これらの文化はゆるやかに国内に流入していました。

享保5年(1720)の八代将軍吉宗による「洋書輸入の禁緩和」は、蘭学発展の大きな契機となりした。その影響で、浮世絵においては、享保年間(1716-36)から西洋の透視図法(線遠近法)を取り入れた浮世絵が盛んに制作されるようになりました。

北斎も20代から浮絵を手がけており、40代になると、銅版画や油絵の陰影表現を応用した洋風版画を積極的に制作しています。こうして、北斎は独自の画風を作り上げていきまし
た。

「神奈川沖浪裏」には、こうした北斎の画業の蓄積が活かされています。

本章では、「グレートウェーブ」の誕生の土壌となった西洋の影響を、北斎や門人らの作品を通してお伝えしています。

画像: (「新札(千円券)」に採用された「葛飾北斎 冨嶽三十六景神奈川沖浪裏」令和6年(2024)画像提供:日本銀行金融研究所貨幣博物館」)

(「新札(千円券)」に採用された「葛飾北斎 冨嶽三十六景神奈川沖浪裏」令和6年(2024)画像提供:日本銀行金融研究所貨幣博物館」)

天保年間にはいると、北斎は、大作の「冨嶽三十六景」を発表し、風景画の新境地を開拓した絵師として評判をさらに集めました。

【第2章:グレートウェーブ誕生―その波は、どこから来たのか】

少し繰り返しとなりますが、北斎は、数え年の19歳のときに、役者絵の第一人者である勝川春章に入門しました。それから数え90歳で亡くなるまでの約70年間を、絵師として活動したのです。

その長いキャリアの中で、「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を制作したのは、70代のときのことでした。ですから、デビューしてから50年の研鑽を積んだ上に、本図は生み出されたのです。

本章では、北斎が影響を受けたと考えられる作品や画派を紹介するとともに、北斎の草創期からグレートウェーブの誕生を経て、最晩年に至る作品を展示し、北斎の描く「波」がその後の作者や作品の中でどのように変化して行ったのか見ていきます。

画像: (「すみだ北斎美術館の展望台からの風景、スカイツリー」)

(「すみだ北斎美術館の展望台からの風景、スカイツリー」)

北斎は、以後、「琉球八景」「諸国滝廻り」「諸国名橋奇覧」などの名作を次々に発表し、なかには花鳥画なども制作していきました。

【第3章:グレートウェーブインフルエンス―その波は、どこへ行くのか?】

「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」のインパクトは、非常に強く、門人だけではなく、同時代の絵師や出版物にも大きな影響を与えました。

その波及力は衰えることがなく、近代、さらに現代アートにまで続いていきます。

そして、今回の新紙幣のように貨幣や切手、パスポートといった公共性の高いものから、国内で流通する私たちの生活に馴染み深い商品や世界的に展開するブランドまで、さまざまな製品に使用されています。

本章では、グレートウェーブが北斎以後の絵師やアーティストたちに与えた影響、またプロダクトデザインに利用されてきた軌跡を、多くの作品によってたどります。

画像: (「しりあがり寿 ちょっと可笑しなほぼ冨嶽三十六景 方舟その二 令和3年(2021)和紙にインクジェット 25.3×37.6cm」 すみだ北斎美術館蔵(通期)©️SHIRIAGARI kotobuki)

(「しりあがり寿 ちょっと可笑しなほぼ冨嶽三十六景 方舟その二 令和3年(2021)和紙にインクジェット 25.3×37.6cm」 すみだ北斎美術館蔵(通期)©️SHIRIAGARI kotobuki)

その後、北斎は、卍(まんじ)と画号を変えました。絵本「富嶽百景」、錦絵「百人一首姥が絵説(うばがえとき)」などの刊行時期です。

さらに北斎の晩年は、中国画の傾向にも傾き、その画風はますます奇怪さを増すことになります。

1 北斎以後の絵師やアーティストたちへの波及

この企画展では、「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の影響を受けた浮世絵師、現代アーティスト、工芸作家らの作品を展示し、グレートウェーブの波及力をたどります。

北斎の門人である葛飾北為、幕末の浮世絵師を代表する歌川国芳、その国芳の門人で浮世絵の衰退期に人気を誇った月岡芳年の作品、多方面で活躍されている現代アートアーティストのしりあがり寿氏など、「神奈川沖浪裏」の影響を受けている作品を展示しています。

画像: (「しりあがり寿 ちょっと可笑しなほぼ冨嶽三十六景 太陽から見た富士山」令和3年(2021)和紙にインクジェット 25.3×37.6cm すみだ北斎美術館蔵(通期)©️SHIRIAGARI kotobuki)

(「しりあがり寿 ちょっと可笑しなほぼ冨嶽三十六景 太陽から見た富士山」令和3年(2021)和紙にインクジェット 25.3×37.6cm すみだ北斎美術館蔵(通期)©️SHIRIAGARI kotobuki)

北斎の門人には、魚屋(ととや)北渓、昇亭北寿(しょうていほくじゅ)、蹄斎北馬(ていさいほくば)などの多くの浮世絵師がいました。
その中でも、娘の葛飾応為(おうい)は、「月下砧打美人図」などで大変な評判になるほどに成長し、肉筆画に特色を発揮しました。

画像: (「熱心に見入る内覧会に参加した人々」)

(「熱心に見入る内覧会に参加した人々」)

北斎の絵は、「葛飾派の祖」として、すぐれた描写力と大胆な構成を特色とする独特の様式と色彩により、西洋の画家などにも大きな影響を与えることになります。

2 プロダクトデザインへの波及

この企画展では、「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」をデザインとして用いた貨幣や切手など公共性の高い製品から、BE@RBRICKやレゴ®などの玩具、タバコやビール、ポテトチップスといった商品のプロダクトデザインを展示します。

また、レゴ®やルービックキューブを用いたアーティストの作品を紹介します。

北斎の「神奈川沖浪裏」が、今なお親しまれ、現在のプロダクトやアートにも使用されている事例等を、ここでは33点の作品によって詳しく紹介、展示しています。

画像: (齋藤司郎「江戸絵切子花瓶 神奈川沖浪裏」平成22年(2010)ガラス花瓶 高さ24.5cm、直径10.5cm)

(齋藤司郎「江戸絵切子花瓶 神奈川沖浪裏」平成22年(2010)ガラス花瓶 高さ24.5cm、直径10.5cm)

画像: (「2024年度上期 日本銀行券は 生まれ変わります」という「日本銀行 改刷のお知らせポスター」令和5年(2023) 72.8cm×51.5cm )

(「2024年度上期 日本銀行券は 生まれ変わります」という「日本銀行 改刷のお知らせポスター」令和5年(2023) 72.8cm×51.5cm )

画像: (「第三展示室への入り口を飾るデザイン」)

(「第三展示室への入り口を飾るデザイン」)

ご利用案内
すみだ北斎美術館
〒130-0014
東京都墨田区亀沢2-7-2
03-6658-8936 (9:30~17:30
※休館日を除く) https:hokusai-museum.jp/ https:twitter.com/HokusaiMuseum/ https://www.facebook.com/THE.SUMIDA.HOKUSAI.MUSEUM/

都営地下鉄大江戸線「両国駅」A3出口より徒歩で5分
JR総武線「両国駅」東口より徒歩9分
JR総武線「錦糸町駅」北口より墨田区内循環バスで5分

画像: (「北斎にちなんだ下町ならではのグッズが好評です」)

(「北斎にちなんだ下町ならではのグッズが好評です」)

特別展 北斎グレートウェーブ・インパクトー神奈川沖浪裏の誕生と軌跡―

期間 2024年6月18日(火)ー 8月25日(日)

(前期 2024年6月18日(火)ー 7月21日(日))

(後期 2024年7月23日(火)ー 8月25日(日))

休館日 毎週月曜日

「開館:7月15日(月・祝)、8月12日(月・振休) 休館:7月16日(火)8月13日(火)」

開館時間 9:30~17:30(入館は17:00まで)

主催 墨田区・すみだ北斎美術館
観覧料 一般:1,500、高校生・大学生:1,000円、中学生:500円、障がい者:500円、小学生以下:無料

ホームページ

「シネフィルチケットプレゼント」

下記の必要事項をご記入の上、「北斎グレートウェーブ・インパクト−神奈川沖浪裏の誕生と軌跡−」シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんように、よろしくお願い致します。

応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com


応募締め切りは2024年7月10日 水曜日 24:00まで

記載内容
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以上の内容は、内覧会当日の「ニュースリリース」および図録「北斎グレートウェーブ・インパクト−神奈川沖浪裏の誕生と軌跡−」を参考に作成いたしました。

岡本勝人記

詩人・文芸評論家。評論集に『海への巡礼』『1920年代の東京 高村光太郎、横光利一、堀辰雄』『「生きよ」という声 鮎川信夫のモダニズム』(ともに、左右社)のほか、『仏教者柳宗悦 浄土信仰と美』(佼成出版社)がある。また詩集に『都市の詩学』『古都巡礼のカルテット』『ナポリの春』(ともに、思潮社)などがある。各紙に書評などを執筆している。

       

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