「展覧会で観て、アートフェアで買う」という新しいコンセプトのアートイベント「CURATION⇄FAIR」。その展覧会パート「美しさ、あいまいさ、時と場合に依る」が、東京・九段下の登録有形文化財「kudan house」において2月21日に開幕しました(2月21日は招待者のみ)。
川端康成と大江健三郎の文化論をキュレーションの起点に、古美術から現代美術まで、時代やジャンルを超えた作品が集結している、人間中心的な視点ではなく、「もの」の質と美に焦点を当てた展覧会です。
見どころが3点挙げられています。
見どころ①1927年に建てられた旧邸宅が展覧会の舞台に
会場のkudan house(九段ハウス)は1927年に実業家・山口萬吉の邸宅として竣工し、現在は国の登録有形文化財に登録されています。この邸宅は、日本を代表する3人の建築家(内藤多仲氏、木子七郎氏、今井兼次氏)によって建てられた、美しい曲線を施したデザインと鉄筋コンクリートの黎明期の代表作です。
見どころ ② 古美術から近代美術、現代美術まで、幅広いジャンルの作品が集結
1F〜3Fの空間には、李朝白磁壷や信楽壷に加え、青木野枝、伊藤慶二、香月泰男、小川待子、大西伸明、川端実、川端康成、熊谷守一、合田佐和子、橋本聡、山口長男、カズ・オオシロ、パブロ・ピカソ、シャプール・プーヤンなどの時間軸やジャンルを超えた作品が並び、ボイラー室などがある地下空間では、アーティストの橋本聡の群とシベリア抑留を生き抜いた香月泰男の絵画が共存しています。これらの作品は情報や文脈に依存することなく「もの」として等価に扱われて展示されています。
見どころ ③ キュレーター、アーティスト、振付師の異なる職能が交わり、作品を引き立てる展示空間
今回の展示構成には、キュレーションの遠藤水城、展示構成の五月女哲平、動作ディレクションの神村恵+福留麻里、というように複数の芸術領域の専門家が携わっています。彼らの共同により様々な年代やジャンルの作品との「時と場合に依る」出会いが促されます。
会場のそこここに配置された赤いランプは、五月女哲平によるものです。時代も背景も異なるkudan houseという展示空間と作品群を中和し、また鑑賞のリズムのようなものを作る装置として存在します。
この展覧会の後、同じ会場で3月9日から11日まで、アートフェアのパートが開催されます。
ぜひ、展覧会を観て、その後のアートフェアで作品を購入するという体験をしてみましょう。
開催概要
CURATION⇄FAIR Tokyo
会場:kudan house
住所:東京都千代田区九段北1-15-9
公式サイト:https://curation-fair.com/
展覧会「美しさ、あいまいさ、時と場合に依る」
会期:2024年2月22日〜3月3日
開館時間:平日 10:00〜21:30 / 土日祝 10:00〜21:00 / 3月3日 10:00〜18:00 最終入場は各日終了30分前まで
入場料:一般 2500円 / 学生 1500円
アートフェア「Art Kudan」
会期:2024年3月9日〜11日
時間:11:00〜19:00 ※3月8日はプレス・関係者向けの特別内覧会。最終入場は各日終了30分前まで
入場料:一般 3000円 / 学生 1800円