「光の画家」「睡蓮の画家」とも称される印象派の巨匠クロード・モネ(1840-1926)。
モネは、自然の光と色彩に対する並外れた感覚を持ち、季節や、天候、時間帯等によって、刻々と移り変わる風景の中で、一瞬の情景を切り取り、美しい作品を創り出しました。
柔らかな色彩と光の表現による清澄な作品は今なお、世界中の人々を魅了し続けます。

このたび、「モネ 連作の情景」が、東京で盛況を博し、2024年2月10日より5月6日までは、大阪中之島美術館 にて開催されます。
本展は「印象派」の誕生から150年目を迎えることを記念して開催される展覧会で、国内外のモネの代表作約70点が一堂に会します。

本展は、日本初公開となる人物画の大作《昼食》を中心にした「印象派以前」の作品から、《積みわら》や《睡蓮》などの多彩なモティーフの「連作」まで、展示作品のすべてがモネの作品で、海外30館以上を含む、国内外40館以上から集められたモネの代表作を堪能できる貴重な機会です。
モネの壮大な光溢れる芸術をご堪能ください。

第1章 印象派以前のモネ

パリで1840年に生まれたモネは、5歳から18歳までの成長期をフランス北西部のル・アーヴルで過ごし、17歳で風景画家ブーダン(1824-98)と出会ったことで運命の転機を迎えます。ブーダンはモネを戸外のスケッチに誘い、風景を描くことに開眼させたのです。
画家を志したモネは18歳でパリに出て、絵の勉強を続け、画塾で出会ったピサロ(1830-1903)やルノワール(1841-1919)、シスレー(1839-99)、バジール(1841-70)と親交を深めました。
当時フランスの若い画家にとってサロン入選は唯一の登竜門でしたが、モネは1865年に2点の海景画でサロンに初入選します。順調なデビューを飾り、その後も入選を重ねましたが、戸外で描いたモネの意欲作を保守的なサロン審査員の多くは評価せず、1867年以降は落選を重ねました。
本章ではサロンに落選した初来日の大作《昼食》を中心に、オランダで描いた風景画などモネの初期作品が紹介されています。

画像: 《昼食》1868-69年 油彩、カンヴァス 231.5×151.5cm シュテーデル美術館 © Städel Museum, Frankfurt am Main 日本初公開

《昼食》1868-69年 油彩、カンヴァス 231.5×151.5cm シュテーデル美術館
© Städel Museum, Frankfurt am Main 
日本初公開

食卓に座るのは、後に結婚するカミーユと息子のジャン。幸せそうな2人を見守る来客の女性と、様子をうかがう女中の姿もあります。プライベートな情景をモネは高さ230cm を超える大きなカンヴァスに描きました。

画像: 《ルーヴル河岸》1867年頃 油彩、カンヴァス 65.1×92.6cm デン・ハーグ美術館 © Kunstmuseum Den Haag - bequest Mr. and Mrs. G.L.F. Philips-van der Willigen, 1942

《ルーヴル河岸》1867年頃 油彩、カンヴァス 65.1×92.6cm デン・ハーグ美術館
© Kunstmuseum Den Haag - bequest Mr. and Mrs. G.L.F. Philips-van der Willigen, 1942

カンヴァスの上半分を空が占め、下半分はルーヴル河岸(ルーヴル通り)を往来する馬車や人で賑わいます。セーヌ川を挟んだ遠方のパリ左岸にはパンテオンのドームが見えます。伝統的な様式で描かれた、モネには珍しい都会の風景です。

第2章 印象派の画家、モネ

オランダから帰国したモネは、1871年末からパリ郊外のアルジャントゥイユで暮らし始めます。マネやルノワールも風光明媚なこの地を訪れてモネと一緒に制作しました。
本章では、1870年代から80年代にかけて、セーヌ川流域を拠点に各地を訪れたモネの作品が展示されています。アトリエ舟で自在に移動し、戸外で制作した印象派らしい多様な風景画です。

画像: 《ヴェトゥイユの教会》1880年 油彩、カンヴァス 50.5×61.0cm サウサンプトン市立美術館 © Southampton City Art Gallery

《ヴェトゥイユの教会》1880年 油彩、カンヴァス 50.5×61.0cm サウサンプトン市立美術館 © Southampton City Art Gallery

パリから北西に60kmほど離れたヴェトゥイユを、セーヌ川に浮かべたボートの上から描いています。教会を中央に据えたヴェトゥイユの街並みの下には、緑の土手とボート遊びに興じる人々が描かれ、それらと空を映し出した川面が画面の下半分を占めています。

第3章テーマへの集中

モネは新たな画題を求めてヨーロッパの各地を精力的に旅しています。
本章ではノルマンディー地方のプールヴィルの海岸を描いた作品群が展示されています。15年後に再訪した際は、構図はさほど変えず、海や空の天候による変化を主題としています。
旅先に滞在中、同じ対象であっても季節や天候、時刻によって、海や空、山や岩肌の表情が絶え間なく変化する様子を描きました。

画像: 《ヴェンティミーリアの眺め》1884年 油彩、カンヴァス 65.1×91.7cm グラスゴー・ライフ・ミュージアム(グラスゴー市議会委託) © CSG CIC Glasgow Museums Collection. Presented by the Trustees of the Hamilton Bequest, 1943

《ヴェンティミーリアの眺め》1884年 油彩、カンヴァス 65.1×91.7cm
グラスゴー・ライフ・ミュージアム(グラスゴー市議会委託)
© CSG CIC Glasgow Museums Collection. Presented by the Trustees of the Hamilton Bequest, 1943

1883年12月にルノワールと旅した地中海沿岸に魅了されたモネは、翌年1月にひとりでこの地を再訪します。画家は輝くような光の下での植物や風景を明るい色彩で捉えようと奮闘し、それまであまり用いなかった青やピンクなどを使うようになりました。

画像: 《エトルタのラ・マンヌポルト》1886年 油彩、カンヴァス 81.3×65.4cm メトロポリタン美術館 Image copyright © The Metropolitan Museum of Art. Image source: Art Resource, NY. Bequest of Lillie P. Bliss, 1931 (31.67.11) 日本初公開

《エトルタのラ・マンヌポルト》1886年 油彩、カンヴァス 81.3×65.4cm メトロポリタン美術館
Image copyright © The Metropolitan Museum of Art. Image source: Art Resource, NY. Bequest of Lillie P. Bliss, 1931 (31.67.11)
日本初公開

エトルタはノルマンディー地方の切り立った断崖と奇岩で有名な海辺の景勝地です。モネはドラクロワ(1798-1863)、クールベ(1819-77)などがエトルタの奇岩を描いた作品を目にしていましが、1883年から86年にかけて毎年この地で制作しました。

第4章 連作の画家、モネ

1883年春、42歳のモネはヴェトゥイユの下流に位置するセーヌ川流域のジヴェルニーに移り住み、制作に励みました。
モネが体系的に「連作」の手法を実現したのは〈積みわら〉が最初だと考えられています。

画像: 《積みわら、雪の効果》1891年 油彩、カンヴァス 65.0×92.0cm スコットランド・ナショナル・ギャラリー © National Galleries of Scotland. Bequest of Sir Alexander Maitland 1965

《積みわら、雪の効果》1891年 油彩、カンヴァス 65.0×92.0cm スコットランド・ナショナル・ギャラリー
© National Galleries of Scotland. Bequest of Sir Alexander Maitland 1965

1886年までに描かれた積みわらは家畜の飼料用の干し草の山ですが、1890年から91年に描かれた積みわらは、脱穀前の麦を積み上げたものです。「連作」では、似た構図の〈積みわら〉が、天候や時間、季節による光の効果の違いによって描き分けられています。

第5章「睡蓮」とジヴェルニーの庭

後半生を過ごしたジヴェルニーはモネの尽きない着想源となります。セーヌ川支流のエプト川が流れる村の風景を四季折々にとらえて描きました。
「花の庭」と「水の庭」を本格的に整備し、「水の庭」では睡蓮を栽培し、池に日本風の太鼓橋を架けて藤棚をのせ、アヤメやカキツバタを植えました。

画像: 《睡蓮》1897-98年頃 油彩、カンヴァス 66.0×104.1cm ロサンゼルス・カウンティ美術館 Los Angeles County Museum of Art, Mrs. Fred Hathaway Bixby Bequest, M.62.8.13, photo © Museum Associates/LACMA

《睡蓮》1897-98年頃 油彩、カンヴァス 66.0×104.1cm ロサンゼルス・カウンティ美術館
Los Angeles County Museum of Art, Mrs. Fred Hathaway Bixby Bequest, M.62.8.13, photo © Museum Associates/LACMA

ジヴェルニーでモネが情熱を注いだのは絵の制作とガーデニングでした。池の水面を間近にとらえ、まるで大画面の一部のような作品です。赤みを帯びた白い睡蓮が豊かな花弁を広げ、切れ込みのある円い葉とともに池に浮かんでいます。クローズアップした構図を素早く粗い筆致でとらえ、青や紫など様々な色を使って活き活きと描かれています。

画像: 《睡蓮の池》1918年頃 油彩、カンヴァス 131.0×197.0cm ハッソ・プラットナー・コレクション © Hasso Plattner Collection

《睡蓮の池》1918年頃 油彩、カンヴァス 131.0×197.0cm
ハッソ・プラットナー・コレクション © Hasso Plattner Collection

庭の樹々や空の雲が、まるで鏡像のように池の水面に映し出され、その色と形が睡蓮の花や葉と交ざり合い、明るく暖かな色彩の見事な調和が構成されています。遠景になるほど光の量は増し、池の片隅に立って制作するモネの眼と、絵を見る私たちの眼が重なります。視覚障害を患いながらも制作に打ち込んでいた晩年の大作の一つです。

一瞬の表情や風の動き、時の移り変わりをカンヴァスに写し取った「連作」は、巨匠モネの画業から切り離して語ることはできません。
移ろいゆく景色と、その全ての表情を描き留めようとしたモネの時と光に対する探究心が感じられる「連作」は、モネの画家としての芸術的精神を色濃く映し出しているといえるでしょう。
モネが描き出した美しい情景に包まれ、心癒されるひとときをお過ごしください。

展覧会概要

展覧会名 モネ 連作の情景
会場 大阪中之島美術館 5階展示室
会期 2024年2月10日(土)〜5月6日(月・休)
開館時間 10:00~18:00 ※最終入場は17:30まで
料金 当日券 一般 2,500円 高大生 1,500円 小中生 500円
   前売・団体 一般 2,300円 高大生 1,300円 小中生 300円
前売2月限定チケット(一般のみ)2,000円/前売ペアチケット(一般のみ)4,400円  
休館日 月曜日(2月12日、4月1日、15日、22日、29日、5月6日は開館)
展覧会公式サイト https://www.monet2023.jp/

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「モネ 連作の情景」@大阪中之島美術館 シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上2組4名様に、招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2024年2月26日 月曜日 24:00
記載内容
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