京都府の最南部、奈良市に隣接する地域は旧国名の山城国にちなんで、いま「南山城(みなみやましろ)」と呼ばれ注目されています。
なだらかな山間を木津川が流れる風光明媚な地であり、仏教の伝来後、7世紀には聖武天皇の恭仁京(くにきょう)造営の際に、行基によって木津川への架橋がなされました。
平城京から長岡京・平安京への遷都以降も南山城は新旧両都をつなぐ回廊的な地域として、重要な役割を担ってきたのです。東大寺や興福寺といった奈良の大寺との深い関わりのなかで寺院が相次いで建立され、また、木津川流域の山々は俗世を離れた聖地として山岳修験の拠点とされました。

このたび、日本仏教の聖地である南山城の仏像や神像を中心に、絵画や典籍・古文書、考古遺品などを一堂に展観する「聖地 南山城―奈良と京都を結ぶ祈りの至宝―」が奈良国立博物館において2023年7月8日から9月3日まで開催されます。

本展では、5か年に及ぶ保存修理が完成した浄瑠璃寺九体阿弥陀像のうち2軀が修理後、初公開され、その優美な姿を寺外で拝することのできる貴重な機会となります。

また現在、東京の静嘉堂文庫美術館と東京国立博物館が分蔵する十二神将像が、今回12軀揃って初めての里帰りとなり、実に140年ぶりに本尊の薬師如来と再会します。

緑に囲まれた神聖なる南山城の地の多彩な仏像などの至宝をご堪能頂き、心洗われるひとときをお過ごしください。
それでは展覧会構成に従ってシネフィルでもいくつかの仏像作品を観ていきましょう。

第1章 恭仁京の造営と古代寺院

奈良時代、天平12年(740)に聖武天皇が山城国南端に恭仁京を造営し、同16年までの短い期間ながら、この地に都が置かれました。本章では、古代寺院に祀られた仏像や発掘調査に際して出土した考古遺品などから、南山城地域に花開いた仏教文化の様相を探ります。

画像: 重要文化財 十一面観音立像 平安時代(10世紀)京都・海住山寺[木津川市]

重要文化財 十一面観音立像 平安時代(10世紀)京都・海住山寺[木津川市]

第2章 密教の広がりと山岳修験

平安時代のはじめに最澄や空海ら入唐僧によって密教がもたらされると、各地の山岳に寺院が建立されました。本章では木津川流域の山岳寺院にゆかりの仏(ほとけ)とともに、南山城地域に祀られる神々の姿が紹介されています。

画像: 京田辺市指定文化財 降三世明王立像 平安時代(12世紀)京都・寿宝寺[京田辺市] 画像提供:京都国立博物館

京田辺市指定文化財 降三世明王立像 平安時代(12世紀)京都・寿宝寺[京田辺市] 
画像提供:京都国立博物館

第3章 阿弥陀仏の浄土

平安時代後期には浄土信仰が広く浸透し、9体の阿弥陀如来像を安置する九体阿弥陀堂が多く造られました。本章では保存修理によって面目を一新した浄瑠璃寺九体阿弥陀像とともに、浄土信仰の聖地にゆかりの仏(ほとけ)が紹介されています。

画像: 国宝 阿弥陀如来坐像(9軀のうち その8)平安時代(12世紀)京都・浄瑠璃寺[木津川市]

国宝 阿弥陀如来坐像(9軀のうち その8)平安時代(12世紀)京都・浄瑠璃寺[木津川市]

浄瑠璃寺の本尊、国宝 阿弥陀如来坐像(九体阿弥陀)は、明治42年から43年(1909~1910)以来、およそ110年ぶりに保存修理が行われました。平成30年(2018)より5か年の計画で実施された保存修理が本年3月に完成し、最終年度に修理したその1とその8が特別公開されています。

第4章 解脱上人貞慶と弥勒・観音信仰

鎌倉時代のはじめ、解脱上人貞慶(1155~1213)は興福寺から笠置寺、さらに海住山寺へと拠点を移し、釈迦如来や弥勒菩薩、観音菩薩に対する信仰を深めるとともに、南都の戒律復興に努めました。本章では貞慶をめぐる2つの聖地に焦点を当て、その信仰世界に迫ります。

画像: 重要文化財 四天王立像 鎌倉時代(13世紀)京都・海住山寺[木津川市]photo by ©cinefil

重要文化財 四天王立像 鎌倉時代(13世紀)京都・海住山寺[木津川市]photo by ©cinefil

画像: 重要文化財 梵鐘 鎌倉時代 建久7年(1196)京都・笠置寺[笠置町]

重要文化財 梵鐘 鎌倉時代 建久7年(1196)京都・笠置寺[笠置町]

第5章 行基と戒律復興

木津川に架かる泉大橋は、東大寺大仏の造立で有名な行基が初めて架けたと伝わります。本章では文殊菩薩の化身とされる行基への信仰とともに育まれた南山城地域の律宗文化が紹介されています。

画像: 重要文化財 文殊菩薩騎獅像 鎌倉時代(14世紀)京都・大智寺[木津川市]

重要文化財 文殊菩薩騎獅像 鎌倉時代(14世紀)京都・大智寺[木津川市]

画像: 重要文化財 十一面観音坐像 鎌倉時代(13世紀)京都・現光寺[木津川市]

重要文化財 十一面観音坐像 鎌倉時代(13世紀)京都・現光寺[木津川市]

第6章 禅の教えと一休禅師

本章では、南山城を代表する禅宗寺院である酬恩庵(一休寺)に伝わった肖像や墨蹟などゆかりの寺宝を通じて、この地に花開いた禅宗文化が紹介されています。

画像: 重要文化財 一休宗純像 自賛 室町時代(15世紀)京都・酬恩庵[京田辺市]後期展示

重要文化財 一休宗純像 自賛 室町時代(15世紀)京都・酬恩庵[京田辺市]後期展示

第7章 近世の南山城と奈良

近世のはじめに瓶原(木津川市加茂町)を拠点として念仏を広めた袋中良定。本章では袋中のような奈良と京都を往来した僧侶をはじめ、多くの人や物資が行き交った南山城の活況が紹介されています。

画像: 袋中上人坐像 江戸時代(17~18世紀)京都・鶯瀧寺[木津川市]photo by ©cinefil

袋中上人坐像 江戸時代(17~18世紀)京都・鶯瀧寺[木津川市]photo by ©cinefil

都会の喧騒を離れ、奈良と京都を結ぶ神聖なる地・南山城の仏像、神像などの至宝を鑑賞して頂き、今も連綿と受け継がれる豊かな歴史と文化を学び、心癒される時間をお過ごしください。

※関連展 浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「京都・南山城の仏像」が、2023年9月16日から11月12日まで、東京国立博物館にて開催されます。

画像: 展覧会風景 photo by ©cinefil

展覧会風景 photo by ©cinefil

展覧会概要

和文名称 浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「聖地 南山城-奈良と京都を結ぶ祈りの至宝-」
英文名称 Special Exhibition Celebrating the Completion of Repairs to Jōruriji’s National Treasure
Amida Statues Numinous Minamiyamashiro Treasures from the Mountains between Nara and Kyoto
会期 2023年7月8日(土)~9月3日(日)前期展示:7月8日(土)~8月6日(日)
後期展示:8月8日(火)~9月 3日(日)
開館時間 午前9時30分~午後6時(入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日(7月17日は開館)、7月18日(火)
会場 奈良国立博物館 東・西新館
観覧料 一般1,800円(1,600円)高大生1,300円(1,100円)小中生 600円(400円)
※()内は、20名以上の団体料金。
主催 奈良国立博物館、日本経済新聞社、テレビ大阪
後援 京都府、京都府教育委員会、木津川市、京田辺市、城陽市、井手町、宇治田原町、笠置町、精華町、南山城村、和束町
協賛 JR東海、竹中工務店、NISSHA、福寿園
特別協力 京都南山城古寺の会
協力 京都山城地域振興社、日本香堂、仏教美術協会

画像: 奈良国立博物館外観 photo by ©cinefil
奈良国立博物館外観 photo by ©cinefil

公式サイト

公式ツイッター @m_yamashiro2023 

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「聖地 南山城-奈良と京都を結ぶ祈りの至宝-」@奈良国立博物館 シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2023年7月24日 月曜日 24:00
記載内容
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