2021年東京国際映画祭で上映され、日本社会のジェンダー不平等を問いかけた作品として話題を集めた舩橋 淳 監督最新作『ある職場』が、3 月 5 日(土)よりポレポレ東中野にて公開されます。
その公開を記念し、その時代ごとの問題意識をテーマにしてきた舩橋淳監督の22年に及ぶ監督作品を一堂に上映する特集上映が開催されることとなった。
「フィルムで時代の無意識をすくい取りたい」という舩橋は、アメリカ・ニューヨークから監督キャリアをスタートさせ、ドキュメンタリーと劇映画を往復するようにフィルモグラフィーを積み重ねていった。それはアメリカで９１１を、日本で３１１を体験し、人生を動揺させる重大な危機を映画とともに受け止め、生き抜いてきた舩橋の人生と切っても切り離せないだろう。
20年ぶりに劇場上映される第1作『echoes エコーズ』から最新作『ある職場』まで一挙に紹介する初のレトロスペクティブである。
映画「ある職場」公開記念
Filmmaker ATSUSHI FUNAHASHI
Retrospective
1999~2022
20年ぶりの劇場上映となるN.Y.イーストビレッジに暮す若者たちの孤独を描き、世界の国際映画祭で賞賛をあびた舩橋淳のデビュー作『echoes』から、ベルリン国際映画祭で連続して出品作として選ばれた『谷中暮色』『桜並木の満開の下に』。主演の柄本佑がキネマ旬報ベストテン主演男優賞受賞したポルトガルとの合作映画 『ポルトの恋人たち 時の記憶』。
そして、3月11日、12日上映は、３.１１特別上映として、福島第一原発事故により突然避難を強いられた、福島県双葉町の人々の9ヶ月を追った傑作ドキュメンタリー『フタバから遠く離れて』第一部、そしてその後3年間を追った『フタバから遠く離れて』第二部が上映されます。
上映日は連日監督が登壇し、トークショーが開催されます。
上映作品
3月4日（金）
19:00-20:29 『echoes』(72分)+初期短編『Talkie & Silence』（17分）
20:30-21:00 舩橋監督登壇トークショー
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★NYで撮った16ミリ劇映画第1作、20年ぶりに上映！
イーストヴィレッジの若者たちの切ない息づかいが聞こえる。
『echoes エコーズ』＋ 短編『Talkie & Silence』
『echoes エコーズ』
『echoes エコーズ』
N.Y.イーストビレッジに暮す、主人公レスリー。友達はいても、空虚な生活。一枚の写真を見つけた時から、時が動きだす・・・。
モノクロの詩情豊かな映像の中に、精神的な結びつきを探し求めるニューヨークの若者たちの孤独を描く。
世界の国際映画祭で賞賛をあびた舩橋淳のデビュー作。
2000年 / 日本 ・アメリカ合作 / モノクロ / ヴィスタサイズ / 72分
キャスト
エデン・ラウントゥリー、パオロ・パグリアコ、アリソン・ライト、ボビー・ソベル、ジョー・マリーノ
初期短編『Talkie & Silence』
初期短編『Talkie & Silence』（1999年）
恋人と破局を迎えたヤナは、マンハッタンのあるカフェで聾者の老人と出会い、彼の目を通して世界を異なる視点で見つめてみることを体験する。
ニューフィルムメーカーズシリーズ(ニューヨーク）,シアトルアンダーグランド映画, イーストランシング映画祭（ミシガン)招待作品
1999年 / アメリカ・日本 / 16mm / 17分
キャスト
ステファニー・ロバートソン,ロン・ウォーターフォード,ジョン・ハンセン
3月5日 (土）
19:00-21:19 上映『ポルトの恋人たち』(139分)
21:19-21:50 舩橋監督登壇トークショー
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★日本人監督初の、ポルトガル・日本を跨ぐ国際共同制作。
今作でキネマ旬報最優秀主演男優賞を受賞した柄本佑と、ポルトガルのミューズ、アナ・モレイラ（「熱波」）の時代と国境を超えた愛の物語。
『ポルトの恋人たち 時の記憶』
18世紀のポルトガルと21世紀の日本。柄本佑、アナ・モレイラ、中野裕太がそれぞれ一人二役に挑んだ異色のラブミステリー。時空を超えた愛と憎しみの不条理が、想像を絶する展開を生み出す。
監督は「ビッグ・リバー」「フタバから遠く離れて」の舩橋淳。
18世紀、リスボン大震災後のポルトガル。宗次と四郎は、復興のためにインドから奴隷として連れてこられた。宗次は屋敷で働くマリアナと恋仲にあったが、理不尽な雇い主に反抗し、銃殺されてしまう。
21世紀、東京オリンピック後の日本。工場の縮小により、加勢柊次からリストラを言い渡された日系ブラジル人の幸四郎は、ポルトガル人の妻マリナを残して、自ら命を絶つ。それぞれの時代にあらがうことのできない境遇によって恋人を殺害された女。その恨みを晴らすために彼女がとったのは想像を絶する手段だった。
キャスト
柄本佑、アナ・モレイラ、アントニオ・ドゥランエス、中野裕太、ミゲル・モンテイロ
製作年 2018
3月6日 (日）
19:00-20:59 上映『桜並木の満開の下に』(119分）
20:59-21:30 舩橋監督登壇トークショー
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★ベルリン国際映画祭正式招待作品。（舩橋作品は5作連続招待の快挙！）
成瀬巳喜男の遺作「乱れ雲」の現代版リメイク。
『桜並木の満開の下に』
震災後の茨城県日立市を舞台に、理不尽な運命に翻弄される男女の物語――
小さな町工場で働く栞(臼田あさ美)は結婚したばかりの同僚・研次(髙橋 洋)との幸福な生活を夢見ていた。ある日、作業中の事故で研次が亡くなり、栞の生活は一変する。事故を起こした若い工員・工(三浦貴大)は栞に謝罪しようとするが、栞はそれを受け入れられない。だが、研次の死によって経営的な危機に陥った工場を立て直すべく必死に働く工の姿を見て、栞の閉ざされた心は和らぎ始める。
やがて1年が過ぎ、工の功績もあって工場は再び軌道に乗り始める。そんな時、栞は工が工場をやめて出ていくことを知らされる。
工を問い詰めた栞はその理由を聞いて動揺する･･････。
キャスト
臼田あさ美、三浦貴大、髙橋洋、松本まりか、三浦力、小澤雄志、テイ龍進、張 天翔、林田麻理、石垣光代、柳 憂怜、諏訪太朗
製作年 2012
3月8日（火）
19:00-20:47 上映『谷中暮色』(107分)
20:47-21:15 舩橋監督登壇トークショー
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https://theaterguild.co/movie/detail/AtsushiFunahashi-specialscreening0308/
★舩橋監督、帰国後第1作。変わりゆく日本の下町と家族形態を描くドキュメンタリーと、古典文学の劇映画化を混在させる舩橋ならではの映像言語。ベルリン国際映画で絶賛された。
『谷中暮色 Deep in the Valley』
大切にしたい あの場所 あの時間
お寺の住職、墓守、江戸大工など 地元の人々が語る谷中五重塔の記憶
東京の下町・谷中を舞台とした若者たちのラブストーリーと幸田露伴原作「五重塔」の世界を融合させた映像詩。 ホームムービーを保存・修復するＮＰＯで働く女性かおりが、昭和３２年に焼失した谷中五重塔の存在を知る。そして、地元谷中のお寺、霊園の墓守、伝統工芸の職人、郷土史家に取材を試みながら、ありし日の塔の姿に思いを寄せる。そんなとき彼女は地元の青年・久喜と恋に落ちるのだった。一方、時代を遡ること江戸中期、五重塔の建設に燃える大工十兵衛が、親方や妻お浪の反対を押し切り、独力で塔を作り上げようとする。現代ー江戸を往復するフィクションと、寺町谷中と称されるコミュニティのドキュメンタリーが渾然一体となり、失われた前近代の意味を問いかける
キャスト 野村勇貴、佐藤麻優、 加藤勝丕 、小川三代子 他
製作年 2009
3月11日（金）
19:00-20:36 上映『フタバから遠く離れて 第一部』(96分）
20:36-21:10 舩橋監督登壇トークショー
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https://theaterguild.co/movie/detail/AtsushiFunahashi-specialscreening0311/
★ 世界４０カ国以上で上映され「世界で最も見られた福島原発事故のドキュメンタリー」。2012年ベルリン国際映画祭の世界初上映は連日ソールドアウト。舩橋監督は、曲を提供した坂本龍一とともに世界へFUKUSHIMA の窮状を訴えた。
3.11 特別上映『フタバから遠く離れて』
福島県双葉町、町全体が丸ごと移住という前代未聞の事態に直面した。
福島第一原発の5号機と6号機が立地していた福島県双葉町。事故後、町全体が警戒区域となり、急遽1423人が約250km離れた埼玉県の旧騎西高校へ避難。地域社会丸ごとの移転という前代未聞の事態となった。激変した環境の下、住民たちはこの1年半余りをいかに過ごして来たのか? 本作は、そんな福島県双葉町の避難生活を描いたドキュメンタリー。
ある日突然、故郷とともに全てを 失った町民の日常を、9ヶ月間にわたって寄り添い記録した。
キャスト 双葉町のみなさま、双葉郡のみなさま
製作年 2012
3月12日（土）
19:00-20:54 上映『フタバから遠く離れて 第二部』(114分）
20:54-21:30 舩橋監督登壇トークショー
https://theaterguild.co/movie/detail/AtsushiFunahashi-specialscreening0312/
★福島を、双葉町を撮り続ける舩橋淳の作家性を決定づけたドキュメンタリーの続編。
ベルリン国際映画祭では前作を越えた評価を受けた。
『フタバから遠く離れて 第二部』
『フタバから遠く離れて 第二部』とは、福島第一原発事故により避難を強いられている、福島県双葉町を追ったドキュメンタリー映画『フタバから遠く離れて』の続編である。
第一部は、埼玉県加須市にある旧騎西高校へ全町避難をした後9ヶ月を追ったものであり、第二部はそれ以後から2013年までの約３年間を記録した作品である。
キャスト 双葉町のみなさま、双葉郡のみなさま
製作年 2014
＜後日、上映予定＞
『ある職場』ほか
代官山シアターギルドにて3/4~より開催
