フランスが生んだ孤高の映画監督、ロベール・ブレッソンの日本未公開だった傑作『湖のランスロ』と『たぶん悪魔が』が、3月11日(金)より新宿シネマカリテ他にて全国順次公開されることが決定しました!
『抵抗(レジスタンス)―死刑囚の手記より』(56)、『スリ』(59)、『やさしい女』(69)などで知られるフランスの映画監督、ロベール・ブレッソン。
プロの俳優をキャスティングせず素人を起用するなど、過度な演出を徹底的に排除する映像表現<シネマトグラフ>を標榜。ゴダールらヌーヴェルヴァーグの作家たちからも称賛され、寡作ながら唯一無二の傑作を生み出してきた彼のフィルモグラフィーの中でも、特に際立ってユニークなこの2作。1974 年製作の『湖のランスロ』はブレッソンが長年映画化を夢見ていた企画で、中世のアーサー(アルテュス)王伝説に登場する王妃グニエーヴルと円卓の騎士ランスロの不義の恋を中心に、騎士道精神が崩壊していく様を現代的視点で描いた時代劇。
1977 年製作の『たぶん悪魔が』は、環境破壊が進み、 社会通念が激変しつつある中で、当時のニュース映像などを挟みながらひとりの若者の死を見つめる終末論的な作品。世界的な環境危機が叫ばれる今だからこそ観られるべき映画と言えるでしょう。
前者はカンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞、後者はベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員特別賞)を受賞した紛れもない傑作でありながら、日本では特集上映などを除き、はじめての劇場公開となります。また両作とも最新の技術を駆使したデジタル・リマスターが施された最新版なので、『ロミオとジュリエット』(68)、『ベニスに死す』(71) などの撮影監督パスクァリーノ・デ・サンティスが手がけた美しいビジュアルが見事にリニューアルされ、40 年以上前の映像とは思えないクオリティが再現されています。
『湖のランスロ』Lancelot du Lac
監督・脚本・台詞:ロベール・ブレッソン
撮影:パスクァリーノ・デ・サンティス
出演:リュック・シモン、ローラ・デューク・コンドミナス、アンベール・バ ルサン
1974 年/フランス、イタリア/カラー/ヴィスタ/81 分
予告編
【ストーリー】
城に帰還したものの、聖杯探しに失敗し多くの戦死者を出したアルテュス王の円卓の騎士たち。その中のひとり、ランスロは王妃グニエーヴルとの道ならぬ恋に苦悩していた。神に不倫をやめると誓うランスロだったが、グニ エーヴルにその気はない。そんなふたりの不義を利用して権力を手に入れようと企むモルドレッドは、自分の仲間を増やそうと暗躍する。団結していたはずの騎士の間に亀裂が入り始め、思わぬ事態が引き起こされるのだった......。カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞受賞作品。
『多分悪魔が』Le diable probablement
監督・脚本・台詞:ロベール・ブレッソン
撮影:パスクァリーノ・デ・サンティス
出演:アントワーヌ・モニエ、ティナ・イリサリ、アンリ・ド・モーブラン、 レティシア・カルカノ
1977 年/フランス/カラー/ヴィスタ/93 分
予告編
【ストーリー】
裕福な家柄の出でありながら自殺願望に取り憑かれている美しい青年シャルルは、政治集会や教会の討論会に顔を出しても違和感を抱くだけで何も解決しない。環境破壊を危惧する生態学者の友人ミシェルや、シャルルに寄り添おうとするふたりの女性、アルベルトとエドヴィージュらと同じ時間を共有しても死への誘惑を断ち切ることができない。冤罪で警察に連行されたシャルルは一層虚無にとりつかれ、やがて銃を手にする・・・・・・。ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員特別賞)受賞作品。
配給:マーメイドフィルム/コピアポア・フィルム