必要不可欠なアート
昨年からの「新型コロナウイルス」の感染拡大はワクチン接種が4,759万人を突破した今でも(7月28日)、完全に収束に向かう気配がなく、東京都の感染者はさらに拡大し、3,000人を超えている。1年越しの東京オリンピックは苦難を乗り越えて、開催されてはいるが、オリンピックは本来、健康な身体の運動が正常に保たれていることで意味をなす。健康で、健全であるスポーツマンたちがマスクを覆いながら出場することの息苦しさは誰しもが不安の中で、見守る姿は決して健康で、健全ではないと感じているはずだ。「不安」と「希望」の間に成り立つ、このアンバランスが東京オリンピックを特別な祭典として、人類の不幸な歴史として刻まれようとしているのも、何か割り切れない思いでいるのは私だけではないと思う。
「パンデミック」(世界的大流行)、「ロックダウン」(都市封鎖)、「ソーシャルディスタンス」(社会的距離)、「クラスター」(感染者集団)等の聴き慣れなかった横文字だらけの言葉も、今では普通の日常の会話となってしまった。「新型コロナウイルス」の感染拡大からの影響は世界を確実に変化させ「人間社会における大変革」(カタストロフィー)を引き起こしているのだ。私たちはワクチン接種をしたとしても、人と人の距離を保ち、マスクを外して会話することも、しばらくの間できない。私たちは、感情を顕にし、大声で話すことも、控えなくてはならず、SNS等のリモートによって、ツール(メディア)を通じて遠く離れて、人と人の対話を保ち続けている。ツール(メディア)は私たちのコミュニケーションになくてならないシステムになり、SF映画のように私たちの身体の一部(ウェアラブルデバイス)と変わりつつある。そして「新型コロナウイルス」からの感染拡大を防ぐための環境の変化は、アートの役割にも変化を与えています。アートは感情表現の延長でもあり、身体の一部でもあるが故に多くの人々に接する機会を「目に見えない世界との交流」を確かなものに変化させた。それは私たちアートに関係する者たちだけでなく、アートは「不要不急」ではなく、「必要不可欠」なものであり、アートは人々の精神に働きかける、生きていくうえでの重要なファクター(要素)であることをより多くの人たちに伝えと思う。
絵の具と筆を用いて、カンヴァスに描く行為(小野ハナ、衣 真一郎、吉田 花子)、あるいはハンマーや彫刻刀によって大理石に刻む行為(和賀 碧)、石版または金属版(芦川 瑞季)やアルミニウムの加工(加藤 佑一)による表現、漆、卵殻、アルミ板(豊海 健太)やFRP、アクリルミラーなど、様々な素材を用いて(クニト)制作する行為は、私たちに生きていくことの意味や、深さ、豊さ、広がりを伝え、希望を与えてくれます。彼らの描いた、見たことのない色彩や、見たこともない形、触れたことのない世界観は、透明な空気のように、私たちの感情や感性を優しく包み込んでくれます。アートは私たちの身体(精神)に訴える感情でもあり、血液と同じように、知識や創造(クリエイティブ)を、多様な価値観と多様な視点を私たちに与えてくれるのです。つまりアートは「人と人を結びつける力」であり、私たちに気概を与え、蓋然的、必然的な人として充足する、普遍的な力として存在しているのです。人と人が直接触れ合うことが難しいパンデミックな状況だからこそ、アートは私たちの心と心を結びつける重要なファクター(要素)として、私たちの環境、制御されたマスク(他者との距離)やステイホーム(自粛)から解放してくれる。
2021年7月26日(月)- 8月7日(土)
Date: 26th (mon.) July – 7th(sat.) Aug. 2021
主催:東京現代美術画廊会議
Gallery Q、ギャラリーなつか、コバヤシ画廊、ギャラリイK、
ギャルリー東京ユマニテ、藍画廊、ギャラリー58、GALERIE SOL
Organizer:
Gallery Q・Gallery Natsuka・Gallery Kobayashi・GalleryK
Galerie Tokyo Humanité・ ai Gallery・Gallery58・GALERIE SOL
新世代への視点2021 Homepage :
http://galleryq.info/news/news_newgeneration2021.html
動画リンク:吉田花子展 - Gallery Q
https://youtu.be/44r4pX3Inzw