このたび国立国際美術館において、世界で最も注目を集めている斬新なアーティスト、ヤン・ヴォーの日本の美術館では初となる個展「ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ」（読み：ヤン・ヴォー）が開催されています。
ヤン・ヴォーは 1975 年、ベトナム・バリアに生まれ、現在はベルリンとメキシコ・シティを拠点に世界各地で活躍しています。ヴォーは 4 才の時に、父親の手製のボートに乗って家族とともにベトナムから逃れます。海上でデンマークの船に救助され難民キャンプを経てデンマークに移住。コペンハーゲン王立美術学校、フランクフルト（ドイツ）のシュテーデル美術学校で学びました。
［参考図版］Studio Danh Vo Güldenhof Courtesy of the artist, Photo by Nick Ash
ヤン・ヴォーは、彼自身の経験、家族の歴史、社会的あるいは政治的な歴史に彩られたレディ・メイドの物、写真や手紙などの蒐集品、また彼の周辺の大切な人たちの手によるものを取り込みながら作品化します。
それらの作品を通じ、アイデンティティ、権力、歴史、覇権主義、エロティシズムといったテーマが直接的にあるいは比喩的に顕れ、鑑賞者にも一つの事物に対して異なる角度からの視線を持つことを誘います。
例えば、昨年からヴォーが取り組んでいる彼の教師、父親、恋人、ミューズである甥にまつわる作品。ヴォーに絵画を学ぶことを止めるようアドバイスしたピーター・ボンデによるミラー・フォイル上に描かれた抽象絵画。近年はコラボレーターでもある父親が記したカリグラフィー作品。恋人のハインツ・ピーター・クネスがヴォーのミューズであり甥のグスタフを撮影した写真。ヴォーにとって極めて重要な人々による作品を取り上げ、これらを再構成することにより、この作品群を通じてヴォーの姿が浮かび上がることに気づかされます。
［参考図版］ヤン・ヴォー《無題》2018 年
Collection of Honus Tandijono Courtesy of the artist, Photo by Nick Ash
19 世紀末に作られた豪華なシャンデリアによる作品《セントラル・ロトンダ／ウィンター・ガーデン》(2011 公益財団法人石川文化振興財団所蔵)は、センセーションを巻き起こしました。
これはパリにホテル・マジェスティックとして建てられ、その後フランス外務省の管轄下にあった建物の大広間に飾られていたクリスタルのシャンデリアです。
1973 年、このシャンデリアが吊るされていた建物の中でベトナム和平に関するパリ和平協定が調印され、べトナム戦争の終戦が宣言されます。そしてサイゴン（現在のホーチミンは陥落し南北ベトナムは統一され、社会主義国家の道へと進みます。これによってヴォーの家族は祖国を脱出することになったのです。
2009 年、カディスト・アート・ファウンデーション（パリ）でのレジデンス中にヴォーは父親とともにこの場所を訪れ、関係者と交渉してシャンデリアを入手します。こうして彼は個人の記憶と集団の歴史の召喚、置換を紡ぎ出し、また文脈によって既に獲得された対象物の意味がどのように変化するのかを探求します。
［参考図版］ヤン・ヴォー《無題》2018 年
Collection of Honus Tandijono Courtesy of the artist, Photo by Nick Ash
本展覧会は、世界的に活躍するアーティスト、ヤン・ヴォーの全貌を明らかにする、日本の美術館における待望の初個展で、国立国際美術館のみの開催となっています。
ヴォーの師、父親、恋人、ミューズであるヴォーの甥等、ヴォーの周囲の大切な人たちによる作品や、ベトナム戦争を押し進めた米国防長官 R.マクナマラの遺族との協働による作品など新作、近作を含め約 40 点余の作品が展示されています。
ヴォーの卓越した選択眼、組み合わせの妙を存分にご堪能いただけます。
また、ヴォーにより丹念に考え抜かれた展示空間への作品配置も見所です。
［参考図版］Studio Danh Vo Güldenhof Courtesy of the artist, Photo by Nick Ash
ヤン・ヴォーは、現在メキシコ・シティに在住。ベルリンにもスタジオを持ちノマド的スタイルで制作を続けています。
世界中で多数の個展を開催、作品も各国の主要機関に収蔵されていて、国際展への参加も多く、2015 年にはヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展にデンマーク代表作家として参加しました。
またフェリックス・ゴンザレス＝トレスの個展（「Specific Objects without SpecificForm」、Wiels、ブリュッセル、2010）や「Slip of the Tongue」（Punta della Dogana、ヴェネチア、2015-2016）など、いくつかの展覧会のキュレーションも行なっています。
日本では国立国際美術館の開館 40 周年記念展「トラベラー：まだ見ぬ地を踏むために」(2018)への出品をはじめ、横浜トリエンナーレ（2008、2014）、PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭 2015（2015）といった国際展にも参加しています。
日本の美術館における個展開催は今回が初となりますが、これからも彼の活躍が期待されています。
是非、この機会にヤン・ヴォーのセンセーショナルで新しい芸術世界をご堪能ください。
［参考図版］Studio Danh Vo Güldenhof Courtesy of the artist, Photo by Nick Ash
展覧会概要
展覧会名 ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ（読み：ヤン・ヴォー）
英 語 名 Danh Vo oV hnaD
主 催 国立国際美術館
協 賛 ダイキン工業現代美術振興財団
協 力 Studio Danh Vo、Take Ninagawa
会 期 2020 年 6 月 2 日（火）─ 10 月 11 日（日）
※当初、4 月 4 日―6 月 14 日の会期で開催予定でしたが、会期を変更いたしました
会 場 国立国際美術館 地下 3 階展示室（〒530-0005 大阪市北区中之島 4-2-55）
開館時 間 10：00 ─ 17：00（入場は閉館の 30 分前まで）※夜間開館は休止しております
休 館 日 月曜日、8 月 11 日、9 月 23 日（ただし、8 月 10 日、9 月 21 日は開館）
観 覧 料 一般 1,200 円（900 円） 大学生 700 円（500 円）
（ ）内は 20 名以上の団体料金
高校生以下・18 歳未満無料（要証明）・心身に障がいのある方とその付添者 1 名無料（要証明）
本料金でコレクション展もご観覧いただけます。
お問い合わせ先 国立国際美術館 TEL: 06-6447-4680（代表）
URL http://www.nmao.go.jp/
同時開催 2020 年 6 月 2 日（火）― 10 月 11 日（日）
コレクション 1：越境する線描
ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ＠大阪 シネフィルチケットプレゼント
下記の必要事項をご記入の上、ヤン・ヴォー ーォヴ・ンヤ＠大阪 cinefil チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効の、この招待券は、非売品です。
チケットの転売は禁止です。
☆応募先メールアドレス info@miramiru.tokyo
＊応募締め切りは2020年8月３日 月曜日 24:00
記載内容
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２、年齢
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また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。
