映画史上の功績を讃え「カルロ・ディ・パルマ賞」と命名されたヨーロッパ映画賞撮影賞。
この類まれな撮影監督についての、知的な、深みのある、なによりも愛にあふれたドキュメンタリー『水と砂糖のように』が、11月30日(土)より東京都写真美術館ほか全国にて順次限定公開されます。
ヴィスコンティ『揺れる大地』、ロッセリーニ『戦火のかなた』、デ・シーカ『自転車泥棒』、アントニオーニ『欲望』、ウディ・アレン『ハンナとその姉妹』…… そこに彼がいた!
光と色の達人であるディ・パルマのキャリアは、ルキノ・ヴィスコンティの最初の映画『郵便配達は二度ベルを鳴らす』に参加した15歳から始まり、第二次世界大戦後の映画を革新したネオレアリズモとともに開花。「光、光、光!」それが彼の決まり文句となりました。
モノクロからカラーに移行する中で、ミケランジェロ・アントニオーニと一緒に、色彩の革命ともいえる『欲望』『赤い砂漠』を生み出し、長きにわたるウッディ・アレンの撮影監督として、『ハンナとその姉妹』などアレンが描くニューヨークの物語に、洗練されたヨーロッパ的なものをもたらしました。そして彼は、長いニューヨーク暮らしにもかかわらずどこまでもローマっ子、イタリア語でいうところの、職人と芸術家を包摂する言葉アルティジャーノそのものでした。
アレンをはじめ、ヴィム・ヴェンダース、ベルナルド・ベルトリッチ、ケン・ローチ、ニキータ・ミハルコフ、フォルカー・シュレンドルフ、ミラ・ネールなど、多くの優れた映画監督や関係者の豊かで温かい証言が彼の突出した才能とともに魅力あふれる人間性をあぶり出します。また、彼が撮影した、ロッセリーニ、ヴィスコンティ、デ・シーカ、ジェルミ、アントニオーニ、スコラ、ベルトリッチ、アレンなどの26作品の一部も挿入。
本作は、単に伝説的なひとりの撮影監督の伝記にとどまらぬ、映画黄金時代の核心に迫る感動的な旅となっています。
プロデューサーは、ディ・パルマと人生を共にした女性アドリアナ・キエサ。
監督ファリボルズ・カムカリ。
今回、本作の中で使用されているディ・パルマが監督、撮影を担当した26作品の映像の、場面写真を一気に公開致します。
●挿入されている映画
ミケランジェロ・アントニオーニ
『ローマ』『愛と殺意』『さすらい』『赤い砂漠』『欲望』『ある女の存在証明』
ルキノ・ヴィスコンティ
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』『揺れる大地』
ロベルト・ロッセリーニ
『無防備都市』
ヴィットリオ・デ・シーカ
『靴みがき』『自転車泥棒』
ジッロ・ポンテコルヴォ
『ゼロ地帯』
フロレスターノ・ヴァンチーニ
『43年の長き夜』
ピエトロ・ジェルミ
『イタリア式離婚狂想曲』
マリオ・モニチェリ
『ブランカレオーネ軍団』
エットーレ・スコラ
『ジェラシー』
カルロ・ディ・パルマ
『女泥棒テレーザ』『冒険が始まる場所』
ベルナルド・ベルトリッチ
『ある愚か者の悲劇』
ウディ・アレン
『ハンナとその姉妹』『ラジオ・デイズ』『セプテンバー』『アリス』『夫たち、妻たち』『地球は女で回ってる』
まるで絵画のような場面写真の数々は、光、色、エレガントさを持つディ・パルマの撮影監督としての無二の特徴を感じさせる場面写真となっています。