アジア移民の闇と悲しみを描いた作品『ザ・レセプショニスト』(2017年|Jenny Lu監督|イギリス・台湾合作|102分)が2019年10月25日(金)から、イオンシネマ板橋・名古屋茶屋・茨木をはじめ、順次全国の劇場で公開となります。
この度、台湾映画『台北セブンラブ』を配給している台湾映画社の葉山友美さんにお話しを伺いました。なぜ台湾映画を配給したのか、配給の方法は?など、インディペンデント映画配給の参考になるお話をたくさん伺いました。
映画『台北セブンラブ』予告
なぜ、台湾映画を配給しようと思ったのか?
もともと映画が好きで、映画配給会社に就職していたんです。でもその頃は台湾映画がものすごく好きというわけでもなく・・・ホウ・シャオシェンやエドワード・ヤンなどは観て、素敵だなあと思うくらいだったんです。
数年前に会社を辞めた頃、たまたま観た映画『GF*BF』が自分の中でドンピシャにはまって、ああこんな台湾映画もあるんだなあって思ったんです。
その後、ちょうど台湾留学の機会があり、期間は9ヶ月ほどだったんですけど、台湾の映画館でかかっている映画を結構観たんですね。
そこで『台北セブンラブ』を観て、今はこんな垢抜けた映画も台湾でつくられているんだ!とかなり驚愕でした。スタイリッシュだし面白いし、日本で公開できたらなあというのがきっかけでした。
劇場公開まで
日本に戻ってきてから、公開されるかな?と思ったりしていたのですが一向にその様子がなかったので、やはりこれは自分でやるしかない!と思い立ちました。
それで自分で権利元に連絡したんですけどなかなかうまくいかず、直接、制作会社に連絡したら監督から返信が来て、そこからようやく動き出しました。
昨年の10月から12月までクラウドファンディングで資金を集めて、今年の春に劇場公開できました。
会社に勤めていた時には宣伝を担当していたので、今回劇場営業は初めてでしたが、人手もないので宣伝配給と一人でやっています。
実は、去年第二子が生まれたばかりなので、子育てと両立しながら活動をしています。
といっても、時間もお金も限りがあってフル稼働はできないので、かなり宣伝をそぎ落とすことになり、いろいろ試行錯誤しましたが、その宣伝・PRが集客につながるかは本当に難しいですね。
今後の展望
今回の作品、実は台湾でのヒット作品ということではないんです。
スタイリッシュ過ぎて観る人を選ぶ作品なのかもしれないのですが、私にはとても刺さる映画で、もはや今回は私の趣味みたいなところもあったかもしれませんね(笑)
ただ、ありがたいことに新宿K’s cinemaでの先行上映では、全回満席になったりと良いスタートを切ることができました。
その後もアップリンク吉祥寺から始まり、全国でも少しずつ上映していただけているので本当にありがたい限りです。
今後も万人受けする大きな作品でなくても、人の心を揺さぶる良質な台湾映画を日本に紹介していきたいです。
新作もそうですけど、過去作で公開されていない台湾映画の中にも素敵な作品がたくさんあると思うので、台湾映画自体を盛り上げたいなと思っています。
『ザ・レセプショニスト』予告
『ザ・レセプショニスト』
今秋公開される『ザ・レセプショニスト』はK’s cinemaとイオンシネマからスタートですよね。
インディペンデントな台湾映画でもイオンシネマで上映できるんだ!と少し驚きでしたが羨ましい限りです。
作品は台湾と英国の合作ですよね。台湾映画っぽくない台湾映画なんですかね。
ちょっと尖った映画かなあ?そういう映画、大好きなので劇場で観るのを楽しみにしています。
葉山友美プロフィール
台湾映画社代表。台湾人の両親を持つ日本生まれ日本育ちの在日二世。大学卒業後、インディペンデント系映画会社に勤務し宣伝を担当。主な担当作品には『ムカデ人間』など。その後退職して2014年に台湾に語学留学に行き、『台北セブンラブ』と出会う。帰国後、台湾スイーツ店東京豆花工房で働きながら結婚出産し、第二子を授かった2018年春に台湾映画社を立ち上げ、2019年春に『台北セブンラブ』を公開させた。
『台北セブンラブ』
監督:陳宏一 (チェン・ホンイー)
出演:許瑋甯(アン・シュー)、莫子儀(モー・ズーイー)、黄璐(ホアン・ルー)、邱彥翔(チウ・イェンシャン)、白梓軒(トム・プライス)、王大陸(ダレン・ワン)、陳語安(チェン・ユーアン)
2014年|台湾|116分|原題:相愛的七種設計Design 7 Love|日本語字幕:神部明世|
配給:台湾映画社
公式サイト:https://www.taipei7love.com/
『ザ・レセプショニスト』
監督:Jenny Lu
出演:Teresa Dailey、Josh Whitehouse、Chen Shiang Chi
2017年|イギリス・台湾 合作|102分|
配給・宣伝:ガチンコ・フィルム
配給協力:イオンエンターテイメント