芸術の秋、鮮やかな色彩と豊かな表現力で今なお、世界中の人々を魅了するゴッホの展覧会が、東京・上野の森美術館にて2019年10 月11日(金)~2020年1月13日(月・祝)まで開催されています。
ゴッホといえば、鮮やかな黄色や青色が印象的で、《ひまわり》や《自画像》で有名ですが、
本展では、今まであまり知られていなかったゴッホの初期の作品も紹介されています。
わずか37歳という若さで旅立ってしまったフィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)。
初期の作品から、ゴッホが繰り返し描いたモティーフの《糸杉》、《麦畑》、《オリーヴを摘む人々》などの作品を通して、ゴッホの生涯を辿ります。
「最も美しい作品のひとつ」といわれている名作《薔薇》もみどころとなっています。今回の「ゴッホ展」は、オランダ・ハーグ美術館のみならず、アメリカ、スイス、スコットランド、デンマーク、イスラエルなど世界10カ国、地域27カ所から集められた作品が集結した大変貴重な機会です。
約40点のゴッホの作品に加え、ゴッホが影響を受けた「ハーグ派」とモネやルノワールなどの「印象派」の画家たちの作品約30 点も紹介されています。
後期印象派の巨匠としての地位を築いたゴッホですが、37年の儚い生涯のわずか10年間ほどの画業で、いかにしてゴッホは、色鮮やかな色彩にたどり着き、あふれる生命感を描き出す独特の世界を築いたのでしょう。
本展では、ゴッホが影響を受けた2つの「出会い」の軌跡を辿ります。
ゴッホは、「ハーグ派」との出会いによって、自然観察力や描写力など絵画の基礎を学び、「印象派」との出会いによって、強烈な色彩や、生き生きとした躍動感のある筆触を学んだのです。
また、日本の浮世絵の愛好家としても知られるゴッホは、自分の絵画に浮世絵の要素を吸収しようとしました。
炎のように燃えるエネルギーに満ちた《糸杉》や南仏の光あふれる《麦畑》をはじめ、感動的なゴッホ作品の数々を是非、この機会にご鑑賞ください。
ハーグ派は、1870年から1900年頃にかけてオランダ南西部のハーグを中心に活動した画家たちです。
自然の光の下で、オランダの田園風景や農民の日常生活を落ち着いた色調で描きました。
ゴッホは、ハーグに移住し、アントン・マウフェから絵を習い始めました。
ハーグ派の影響を受けた初期の作品では重厚な色彩が多く、農婦を力強く描いています。
ゴッホは、貧しい農民たちの支えになることを目指し、絵を描くことで農民たちの暮らしの真実を伝え、貢献したいと願っていました。
《ジャガイモを食べる人々》では農民の生活が見事に描写されています。
弟のテオを頼ってパリに赴き、ロートレックや、ベルナール、ピサロら印象派の画家たちと交流を持ち、影響を受けます。
パリのアニエールは、印象派や新印象派が通った行楽地です。
色彩は明るくなり、短い筆のタッチでリズミカルに描いています。
1888年の初夏、アルルに滞在していたゴッホは麦畑をモティーフとした油彩画を少なくとも10 点は描いたようです。
南仏の明るい光のもと、澄みきった青い空に白い雲が浮かび、見渡す限り麦畑が広がっています。
「周囲を見渡すと自然の中にたくさんの発見があって、それ以外のことを考える時間がほとんど無いことだ。」と、ゴッホは手紙に書いています。
ゴッホは美しい自然の情景に魅せられたのでしょうか?
一つのテーマを定めると構図や色のバリエーションを変え、繰り返し同じモティーフを描きました。
空の青色と麦畑のオレンジ色の対比も絶妙です。
1889年、ゴッホは精神を患い、フランスのアルルからサン・レミという小さな村の療養院に移ります。
療養院の外での制作が許可されるようになると、風景画を描くようになりました。
糸杉はサン・レミ時代のゴッホにとって最も重要なモティーフとなり、何度も繰り返し描きました。
この《糸杉》では、晴れ渡った青い空や白い雲や、山、野原も力強い渦巻き状の線で描かれています。
糸杉はまるで燃え上がる炎のように荒々しく、力強く描かれています。
西洋で糸杉は冥界をつかさどる神の象徴とされています。
一方、杉はその寿命の長さから長寿のシンボルでもあります。
糸杉に魅了され、一心に描き続けたゴッホでしたが残念なことに、この作品の制作の翌年に天に召されます。
ゴッホは入院中に糸杉とオリーヴの木の造形に心惹かれ、うねるような筆触で描きました。
農作業をする人々は、ハーグ派に影響を受けた時から描いています。
黄色と青と赤で表現された空のもと、細かいタッチで緑の葉が繊細に力強く描かれています。
樹木と同じように花もまた、ゴッホにとって生命を讃える象徴でした。
退院の直前に描かれた《薔薇》は、退院を祝うかのように華やかに幸せに溢れ、清楚な白いバラが咲き誇っています。
わずか10年の間に自然派の農民を描く作風から、印象派の影響を受け、色鮮やかな美しい風景を描くようになり、ゴーギャンとの共同生活や、耳切事件などドラマティックな人生を送り、最後は、躍動感あふれる力強い独自の世界を築いたゴッホの感動的な芸術を是非、ご堪能ください。
展覧会概要
会期:2019年10月11日(金)〜2020年1月13日(月・祝)
会場:上野の森美術館 東京都台東区上野公園 1-2
時間:9:30〜17:00(最終入場時間 16:30)
※金曜、土曜は20:00まで(最終入場時間 19:30)
休館日 | 12月31日(火)、1月1日(水)
観覧料:
一般 1,800円(1600円)
大高生 1,600円(1400円)
中小生 1,000円(800円)
※( )内は前売と20人以上の団体料金
主催:産経新聞社、BS日テレ、WOWOW、ソニー・ミュージックエンタテインメント、上野の森美術館
後援:オランダ王国大使館
協賛:第一生命グループ、大和証券グループ、髙松建設、NISSHA、アトレ、関電工、JR東日本
協力:KLMオランダ航空、日本航空、ヤマトグローバルロジスティクスジャパン
総合監修:ベンノ・テンペル(ハーグ美術館館長)
ゴッホ展@東京 cinefil チケットプレゼント
下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、ゴッホ展@東京 cinefil チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
この招待券は非売品です。転売、オークションへの出品などを固く禁じます。
応募先メールアドレス info@miramiru.tokyo
応募締め切り 2019年11月4日(月・祝)24:00
1、氏名
2、年齢
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