『青の帰り道』再上映記念連載/監督・藤井道人#23
「青の帰り道」監督の藤井道人です。
5月11日から、アップリンク渋谷にて「青の帰り道」の上映が始まりました。
それに伴って、昔から縁の深いcinefilさんで、連載を書かせていただけることになりました。
今日で、第23回。
6月2日
上映23日目。
今日は、撮影のため終映時間に間に合わず、急遽ライターの森田真帆さんに司会をお願いをすることに。
登壇記録は22日で途絶えてしまったが、引き続き毎日行けるように尽力します。
本日のゲストは、オーディションを勝ち取った松井薫平と海老沢七海。
たっぷりチャーミングなトークショーを繰り広げてくれたようだ。
Twitterを始めたのは、現在放送中「向かいのバズる家族」の学習のためだったが、Twitterのお陰で様々な情報を知ることが出来るし、フォロワーの方が、トークショーの内容を教えてくれたりする。凄い時代だ。かっこつけてSNSやらないキャラを貫いていた自分になまはげチョップしてやりたい。
フォロワーさんの報告によると、薫平と七海が大きく話題に出したトークテーマが2つあったのでそれについて話したいと思う。
一つ目。
実は冒頭はあの二人からこの映画が始まっていたということ。
これは正解である。
薫平と七海が「自分の人生、こんなはずじゃなかった」と一本道を軽トラを走らせながら喧嘩をしている。そこに7人のキラキラした高校生が自転車でやってくるという脚本だった。
2年目にもそのシーンは確かに存在していた。
しかし、カットした(笑)。ごめん!二人とも!
でも、実は「青の帰り道」、カットしているシーンは多いんです。
135分あり、120分にするために様々なところをカットしている。
最終的に冒頭のカットは7人から始めたいという僕の要望から、二人の出演は、2年後に銅線を盗まないか?と誘う悪い先輩という部分が色濃くなってしまった。
余談だが、キリとリョウの二人のシーンもカットしている。二人が、地元の悪口を言うシーンだ。もしDVDが出せたら、是非未公開シーンで入れたいなと思っている。
2つ目は、僕が撮影中にドSであるということ。
(この書き込みを見たとき、流石に焦った!言うなよ!本当のことを!)
釈明させていただくと、僕は集中すると周りが見えなくなる。いいカットが撮れるまで、時間が許す限り何度も何度もやってしまう。
後悔したくないのだ。自分の言い訳や妥協に、スタッフやキャストを付き合わせるわけにはいかない。皆が、スクリーンに映った自分たちの仕事を家族や友人に自慢できる、そんな作品にしたいと強く思っているからだ。殊更、オーディションで選んだメンバーには厳しい。
僕が選んだ人間が、芝居が下手だとか、絶対に言われたくない。そんな一心で、普段は温厚な僕も(嫌々)ドS監督を演じているのだ。
…と、かなり言い訳がましいが、反省してる部分もあるよ!
ごめん!薫平!七海!
来てくれてありがとう!
本日は「向かいのバズる家族」主演の内田理央さんが登場。
宜しくお願いいたします!
藤井道人
■藤井道人 Michihito Fujii
映画監督、映像作家、脚本家。1986年生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部映画学科脚本コース卒業。伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』でデビュー。『光と血』などの作品を発表する一方で湊かなえ原作ドラマ『望郷』、ポケットモンスター、アメリカンエキスプレスなど広告作品も手がける。2017年Netflixオリジナル作品『野武士のグルメ』や『100万円の女たち』などを発表。2019年『デイアンドナイト』『青の帰り道』公開中。6月28日『新聞記者』の公開が控える。
ご来場のお客様からご感想をいただきました!
■まーちゃん様
今朝、たらればを聴きながら、出勤。改めて、じっくり歌詞と向き合い、映画のこと、自分のこと思い巡らせてみたけど、最後の4行の言葉が刺さる。
「もしも僕が生まれ変われるなら もう一度だけ僕をやってみる 失敗も後悔もしないように でもそれは果たして僕なんだろうか」
上手くいくことばかりじゃない人生だとしてもそこから感じたこと、出会えた人、今に通じる様々な偶然のような出来事があったからこその人生、きっと平坦な道を歩いていたら、気づかなかったこと、出逢えなかった人達もいたはず。
生まれ変わってもきっと私は他者が選ばない道を選択してしまうんだろうと思う。
■ゆりり様
上京してきた時ここへ来るたび私も見上げてたこの看板。
だから誰かがカナコの看板見上げる姿と自分を重ねて当時を思い出してた。
この看板が選ばれたことにすごく説得力を感じる。リョウが座り込んでた場所も。
今でも定期的に行くけど映画を観てからはよりしみじみと通ってます(^^)
■B子 様
「死んだら終わり」
生きることに絶望してもう死んでしまえば楽になれるなんて思ったことは沢山ある。それでも生き続けてきたのはリョウが言ったこの言葉が自分の中にあったから。死んでしまったらもう、何も無くなる。楽になれるって事さえも無くなる、全部が無くなる。生きてるから苦しくて、生きてるから楽を知れる。生きていないと何も出来ない。
この先、短くはない人生だけど生きなきゃ、生きていかないと。どうすることが何をすることがどこにいることが正解なんかわからない。生きていくことに正解なんてないのかもしれない。でも、だからこそ生きていかないと。
「もしも僕が天才だったら。」
この言葉の先を私は見つけられなかった。それでも生きる。「こんな僕も悪くないって思えたんだ」って思えるように。もしも、なんて無くても今の私で、今を精一杯に生きる。失敗なんていくらしたっていい、後悔だっていくらしてもいい、生きてさえいれば。
沢山のことを考えさせられて、胸にささって、それぞれの登場人物の心情、環境、言葉に共感できた。この作品に出会えて良かった。きっとずっと忘れない、2回、3回と回数を重ねるとまたいろんな考え方が自分の中に生まれるんだろうなと思った。拙い言葉しか出ないけど私の心に、人生に大きく影響すると思った。
『青の帰り道』 東京再上映・トークイベント開催中!
東京・アップリンク渋谷 https://shibuya.uplink.co.jp/
5/11(土)〜公開中 (終映日未定)
《トークイベント登壇予定者》
藤井道人監督
3日(月)内田理央/4日(火)深川麻衣/5日(水)清原果耶/6日(木)飯塚健監督/
7日(金)ねお
※詳細は劇場HPをご覧ください。
■アップリンク吉祥寺 拡大上映決定!
https://joji.uplink.co.jp/
5/17(金)〜(終映日未定)
連日満席の東京から関西、そして新潟でも上映決定!
■大阪第七芸術劇場
http://www.nanagei.com/
6/22(土)〜
■京都・出町座 https://demachiza.com/
6/22(土)〜
■新潟・市民映画館 シネ・ウインド https://www.cinewind.com/line-up/
7/27(土)〜
映画『青の帰り道』
出演:真野恵里菜 清水くるみ 横浜流星 森永悠希 戸塚純貴 秋月三佳 冨田佳輔
山中崇 淵上泰史/嶋田久作
工藤夕貴 平田満
主題歌:amazarashi『たられば』
監督:藤井道人
原案:おかもとまり
脚本:藤井道人/アベラヒデノブ
制作プロダクション:and pictures
制作協力:BABEL LABEL/プラスディー
配給:NexTone
配給協力:ティ・ジョイ
再上映配給:BABEL LABEL/ボタパカ/and pictures
©映画「青の帰り道」製作委員会
公式サイト:(以下より)
連載第22回